1. いま聞きたいQ&A
Q

自己資本比率の計算式を教えてください

今回は企業の財務諸表分析に関するご質問です。自己資本比率に関するものですが、もう少し幅を広げて、株式投資に欠かせない財務諸表をいっしょに調べてみましょう。

具体的な計算式に入る前に、財務諸表分析について少し述べてみます。証券投資、中でも株式投資を行うにあたって財務諸表分析は欠かせないツールとなっています。その目的は、投資対象と考えている企業の投資価値の判断に必要なデータを得ることにあります。

「投資価値の判断」を下すために必要なデータは、大きく分けてその企業の収益性(利益を稼ぎ出す力がどれくらいあるか)、財務安全性(経営に行き詰まることはないか)という二つの観点から調べてゆくことになります。最初に用いるデータは「貸借対照表」と「損益計算書」です。

「貸借対照表」と「損益計算書」は、企業が決算期のたびに定期的に公表している二つの基本的な決算書類で、最近ではインターネットを経由して企業のホームページから手軽に入手することができるようになりました。もちろん数字を計算するための電卓も必要です。ここでは外国人持株比率が急上昇している東証1部の電機メーカー、ユニデン(6815)の2005年3月期の決算書類を例にとって、財務安定性の分析に絞って話を進めてゆきます。

なお財務諸表分析では、似たような言葉がたくさん出てきます。また同じものを違う言葉で言い換えることもあります。「自己資本」は「株主資本」や「純資産」と同じものを表しており、「総資産」は「総資本」と同じです。似たような用語が出てくるたびに説明してゆきます。

財務安定性の分析

■自己資本比率

自己資本比率とは、自己資本(=株主資本)を総資産(=総資本)で割ったものです。100分率で表され、株主資本比率とも呼ばれます。

自己資本比率=自己資本÷総資産

ユニデンのケース:70,046÷93,216×100=75.1%(単位は百万円、以下同じ)

企業の貸借対照表は、(資産=負債+資本)という形式で記載されます。資産はその企業が事業を営む上で必要な経営資源です。それをどのような資金で購入したのか、その資金調達ルートが負債と資本で表されます。負債は、銀行借り入れに代表されるように、いずれは他人に返済する義務のある資金です。これに対して資本は、企業が株式を発行して自ら調達した資金で返済の必要はありません。

自己資本比率の値が大きな会社は、それだけ財務安定性が高いとされています。これは、企業が他人に返済する必要のある資金(=負債)に対して、どの程度の資産の裏づけを持たしているかが判るからです。ユニデンの自己資本比率は75.1%とかなり高いものでした。仮に負債の額に見合う金額の資産をすべて失ったとしても(ユニデンの場合、それは資産全体の25%弱ですが)、残った資産で十分に負債の返済が可能だからです。業種によって差がありますが、一般的に財務安定性の目安は50%超になります。

■負債比率

自己資本比率と似たもので負債比率があります。負債比率は、負債を自己資本で割って算出します。

負債比率=負債÷自己資本

ユニデンのケース:23,170÷70,046×100=33.1%

自己資本比率が、自己資本と総資産を比べて財務安定度を示したのに対して、負債比率は負債の額をより直接的に自己資本の額と比べています。資金調達の二つのルート、他人資本と自己資本との比率を示しており、この値が100%以下なら(負債<自己資本)、100%以上なら(負債>自己資本)ということになります。業種によっても差がありますが、100%を下回るほど財務安定度が高いということになります。

負債比率の計算式で、分子の項目を「負債」から「有利子負債」に入れ替えると、「デット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ)」になります。デット・エクイティ・レシオは有利子負債が自己資本(株主資本)でどれだけカバーできているかを測る指標になります。単位は「倍」で表示され、この数値が小さいほど財務安定度は高くなります。ユニデンのケースでは、デット・エクイティ・レシオは(2,000÷70,046=0.02倍)となり、やはり財務安定度が非常に高いことがわかります。

固定比率

固定比率は、資産の中の固定資産に着目して、固定資産がどれくらいの割合で自己資本によってまかなわれているかを示す指標です。

固定比率=固定資産÷自己資本

ユニデンのケース:52,813÷70,046×100=75.4%

固定資産とは、機械類や本社、支社、工場、土地などで構成され、企業のビジネス活動にとって最も基本になるものです。同時にこれらは長期にわたって使用するものであるため、企業にとっては返済を迫られる恐れのある負債(他人資本)で購入しているのではなく、できるだけ返済の必要のない自己資本(株主資本)によって調達されている方が望ましいはずです。したがって、固定資産に振り向けられる資金は自己資本の範囲内にとどめることがよいとされており、この指標は100%以下であることが標準となっています。ユニデンの固定比率は75.4%で、この原則をしっかりと満たしています。

流動比率

流動比率は、資産と負債の双方の流動的な部分に着目したものです。

流動比率=流動資産÷流動負債

ユニデンのケース:40,403÷21,352×100=189.2%

流動負債は、負債の中でも1年以内に返済しなければならない借入金や、近々に支払う義務のある支払手形、法人税などで構成されています。これらの支払いには、すぐに換金できる流動性の高い資産によって裏づけられていることが経営上は望ましいはずです。流動比率は最低でも100%以上であることが必要とされ、できれば200%以上であることがよいと考えられています。これは流動資産が現在の価値の半値で叩き売られたとしても、短期的な支払いには支障が出ないという意味合いからです。ユニデンの流動比率は189.2%で理想に近い水準になっています。

当座比率

流動比率の考え方をさらに厳しくしたものが当座比率です。これは当座資産(現預金、受取手形、売掛金)を流動負債で割ったものです。

当座比率=当座資産÷流動負債

ユニデンのケース:30,232÷21,352×100=141.6%

この指標は流動比率の補助的な役割として用いられます。流動資産の中には、棚卸資産(在庫)や繰延税金資産など、流動的な資産とは言えども換金性に劣るものが含まれています。そこで当座比率では、より換金性の高い資産として、現預金や売掛金、受取手形などの当座資産だけを流動負債の返済の裏づけと考えています。

当座資産は100%を基準として、高いほどよいとされています。100%以上であれば、短期的な支払い要請に対しても十分に応えられるからです。ユニデンの場合、この指標は141%でかなり高い水準に達しています。

財務安定性の分析は以上です。次回は残されたQ&A「収益性の分析」について見てゆきましょう。

参考 「財務諸表分析」平澤英夫、日本経済評論社

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

バックナンバー2006年へ戻る

目次へ戻る