いま聞きたいQ&A

NISAの基本と最新動向を把握して正しく活用しよう

NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得られた利益が非課税になる制度です。まずは性質が異なる2つの投資枠と、個人が年間および生涯で投資できる限度額について正確に理解しておきましょう。2027年からは未成年者にも利用が解禁され、NISAは日本人の資産形成を文字通り一生にわたって支える制度となります。

メインビジュアル

Q.NISAの使い方について、改めて基本から教えてください。

私たちが株式や投資信託などの金融商品に投資して、売却による利益を得たり、配当金や分配金を受け取ったりする場合には通常、約20%の税金がかかります。NISAで投資を行うと、同じように利益が得られた場合でもすべて非課税になります。

NISAを利用するためには、銀行や証券会社などの金融機関でNISA口座を開設する必要があります。口座は1人につき1つしか利用できません。

2024年に制度が恒久化されて利便性が高まったのを機に、投資の初心者も含めてNISAの普及が一気に進みました。口座数は25年6月末時点で約2700万に達しており、成人の4人に1人がNISA口座を開いている計算です。

NISAでは「つみたて投資枠」「成長投資枠」という2つの枠を使うことができます。個人が1年間に投資できる限度額(*)は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円の合計360万円です。ある年にどちらか一方の枠だけ使うこともできるし、両方を併用することもできます。

個人が生涯で投資できる限度額(*)は、2つの枠の合計で1800万円です。このうち成長投資枠として使える上限は1200万円ですが、つみたて投資枠として使える上限が残りの600万円というわけではありません。成長投資枠を使わずに、つみたて投資枠だけを使って1800万円を投資することも可能です。

仮に現在30歳の人がこれから30年間かけて、NISAを使いながら毎年60万円ずつ生涯の限度額まで投資を続けるとしましょう。例えば「つみたて投資枠で毎年20万円ずつ、成長投資枠で毎年40万円ずつ」を投資してもいいし、「つみたて投資枠だけで毎年60万円ずつ」を投資してもいいわけです。

つみたて投資枠では、同じ投資対象を毎月同じ金額ずつ購入していく「積み立て投資」のみが可能です。「一括投資」はできません。投資対象は金融庁が一般個人の長期資産形成に適していると認めた金融商品に限られており、低コストのインデックス型株式投信が中心となっています。

成長投資枠では上場株式(個別株)や投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など、つみたて投資枠よりも幅広い投資対象が用意されていて、一括投資も可能です。つみたて投資枠の対象商品にも投資できるし、つみたて投資枠と同じく、株式投信などに積み立て投資を行うこともできます。

NISAで投資した商品を売却した場合には、その商品の簿価(購入金額)分だけ、生涯の投資限度額が復活します。例えば過去に400万円で購入した商品の時価(現時点での価格)が、450万円に値上がりしていたり、350万円に値下がりしていたとしても、その商品を売却すると、簿価の400万円分を新たに投資できるようになります。

ただし、実際に投資できるのは売却した翌年以降です。1年間に投資できる限度額は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて360万円なので、売却の翌年は400万円分のうち360万円までしか投資できないことにも注意が必要です。

(*)投資できる限度額はいずれも簿価ベース

株式投資を予定している人は証券会社でNISA口座を開く

前述のようにNISA口座は1人につき1つしか利用できないため、どの金融機関を選ぶかが重要になります。例えば銀行には個別株の取引が認められていないので、銀行でNISA口座を開くと、成長投資枠で株式に投資することはできません。現時点で、あるいは将来的に株式投資を予定している人は、証券会社でNISA口座を開く必要があります。

株式投資の予定がない人も、金融機関によって取り扱う投資信託などの数や、顧客サービスの形態が異なることには要注意です。長期資産形成の過程で投資する商品を追加したり、変更したくなったりする際には、品ぞろえが相対的に豊富なネット証券を選んでおくと、選択肢が多くて便利でしょう。対面で金融機関の担当者に資産形成の相談をしたいという人ならば、普段からなじみのある銀行を選ぶのが安心かもしれません。

NISA口座の金融機関は1年に一度だけ、変更することも可能です。元の金融機関で投資した商品は、変更後も非課税扱いで元の金融機関のNISA口座にそのまま残ります。生涯の投資限度額については複数の金融機関分を合算して管理することになるため、少々面倒ですが、どうしても必要な場合には金融機関の変更を検討してみてもいいでしょう。

NISAの投資対象として現在、圧倒的に人気が高いのは、運用成績が全世界株価指数や米国S&P500種株価指数に連動するタイプのインデックス型株式投信です。成長投資枠では、NTTや三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車などの高配当銘柄と呼ばれる個別株もよく買われています。

一方で、リスクの低い運用に関しては課題が残っていました。つみたて投資枠の対象商品は一部の投資信託を除くと、株式への投資比率が50%超であることが条件となっています。それが今年(26年)4月をメドに、運用資産に株式が含まれていれば、債券への投資比率が50%超でも認められるようになります。結果として債券中心の運用商品が増えると考えられ、資産を減らさないことを重視する高齢者などにとっては選択肢が広がりそうです。

さらなる改革も予定されています。NISAは現在18歳以上が対象ですが、27年からはつみたて投資枠が18歳未満にも解禁され、「こどもNISA(仮称)」がスタートします。0歳から利用でき、親や祖父母などによる贈与が想定されています。未成年者にも対象が広がることで、NISAは日本人の資産形成を文字通り一生にわたって支える制度となるわけです。(チームENGINE 代表・小島淳)

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。