1. いま聞きたいQ&A
Q

インデックス運用について、改めて着目すべき点を教えてください。(前編)

米国では資金の流出入ともにインデックス型が最大だった

米国では最近、運用歴の長い著名な株式投信からの資金流出が目立っています。モーニングスター・ダイレクト(*1)のデータをもとに、純資産が30億ドル(約3300億円)以上のオープン型株式投信について今年(2021年)1~5月の資金流出入を集計したところ、例えば「フィデリティ・コントラファンド」が113億ドル、「アメリカン・ファンズ・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ」が79億ドル、それぞれ流出超となっていました。

設定されたのは前者が1967年、後者が1934年という長寿投信で、いずれもファンドマネジャーが独自の判断で銘柄を選ぶアクティブ運用タイプです。運用成績が市場平均より劣るのかといえば、そうでもありません。前者は過去10年の平均年間収益率が15.8%と、米国S&P500種株価指数の平均年間上昇率(14.4%)を上回っています。後者も今年1~5月の騰落率は12.7%で、S&P500の上昇率(11.9%)をしのぐ成績です。

信託報酬に資産管理費用や監査費用などを加えた投信の総合的な運用コストを、資産残高に対する経費率として示したものを「エクスペンスレシオ」といいます。それをみるとコントラファンドは0.86%、アメリカン・ファンズは0.58%となっています。

一方で、同期間中に資金流入が最大だったのは「バンガード500インデックス・ファンド」で、217億ドルの流入超でした。こちらは株価指数に連動するインデックス運用タイプの投信で、エクスペンスレシオは0.14%です

これらのデータをみる限り、米国の個人投資家は多少の運用成績の差よりも、コストの低さを重視する傾向を強めているもようです。過去10年以上、米国の株価が基本的に右肩上がりの状態にあるなかで、個人投資家は「インデックス運用でも十分に利益を得られる」ことに気づき、その成功体験が結果として低コスト投信への資金シフトを促したのではないかと考えられます。

不思議なのは、同期間中に資金流出が最大だったのも、やはりインデックス型だということです。「バンガード・トータル・インターナショナル・ストック・インデックス」がそれで、流出超過額は491億ドル、エクスペンスレシオは0.17%です。純資産に対する流出超過額の比率は12%と、コントラファンドやアメリカン・ファンズより大きくなっています。

ストック・インデックスにおける資金流出の内情が、利益確定を目的とした純粋な解約が多いのか、あるいはもっと経費率の低い他のインデックス型投信への乗り換えが多いのか、定かではありません。しかしながら、インデックス型の株式投信に関しては、実は日本でも気になる現象が起きています

積立対象の投信で保有期間が短くなった理由

QUICK資産運用研究所が日本の株式投信(*2)について20年末時点で保有期間を調べたところ、全体では平均2.5年となり、5年前(15年末)の平均2年より長期化が進んでいることが分かりました。ところが、つみたてNISA(少額投資非課税制度)で購入対象となっている投信に限ってみた場合には、20年末時点で平均2.1年と、15年末の平均2.5年より短くなり、株式投信全体と比べても期間の短縮が進んでいます

なかでも注目したいのが、つみたてNISAの購入対象として圧倒的に数が多いインデックス型投信の平均保有期間です。主な投資対象が日本株の投信こそ、5年前の1.1年から20年末には1.3年へと延びていますが、海外株の投信では同1.7年→1.4年、バランス型の投信では同3.7年→2.9年と短縮の傾向が目立ちます

つみたてNISAでは文字通り、積み立て方式でコツコツと投信を購入していくため、いったん始めると定期的な購入を継続する人が多く、短期的な解約は出にくいと言われています。それでも全体として保有期間が短くなっているのは、つみたてNISAの購入対象のなかに、つみたてNISAという制度を利用しなくても一般購入できる投信が多数含まれているからだと考えられます。

特にインデックス型投信は、一般に相場の急落時には買われやすく、急騰時には売られやすいという傾向が強くみられます。すなわち、相場の変動局面で短期売買に利用されやすいわけです

経費率の低さから、インデックス型投信は長期でアクティブ型投信の運用成績を上回りやすいため、相対的に長期投資に向いていると言われます。他方、相場の変動局面で短期売買に利用されやすい側面もあるということは、個人投資家がインデックス型投信を「相場に乗り降りしやすい」投資対象とみなしていることの表れではないでしょうか。

こうした相反するイメージが混在しているのだとしたら、私たちはいま一度、インデックス運用という指数連動型の投資スタイルについて、その意味するところを明確化しておく必要があるかもしれません。次回も引き続き考えてみます。

(*1)米国の投資家向け情報サービス会社・モーニングスターが、機関投資家向けに提供しているウェブ上のデータベース
(*2)国内籍のオープン型株式投信。ETFおよびブルベア型やマネープールは除く

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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