6 投資信託を利用するときの注意
投資信託にはメリットがあり、投資の初心者でも利用しやすい金融商品だ。でも、元本が保証される「貯蓄」とは違い、あくまで「投資」だということは忘れてはならない。利用の際にはいくつかの注意点もある。
リスクがある
投資信託は、株式や債券といった値動きのある金融商品に投資するわけだから、投資したお金が必ず増えるとは限らない。たとえば高い利子を約束した債券を中心に運用する投資信託の場合、大きなリターンが期待できる反面、発行した企業が倒産して利子の支払いや満期のお金の返済ができなくなり、損をするリスクだってある(債務不履行という。詳しくは「投資手段としての債券の特徴とリスク」を参照)。
投資でお金を上手にふやすためには「分散投資」と「ポートフォリオ」の考え方が大切で、これは投資信託を利用するときでも同じだ。一種類の投資信託に手持ちのお金をすべてつぎ込むのではなく、「株式で運用する投資信託」、「主に債券に投資する投資信託」、「国内外のさまざまな金融商品を組み合わせた投資信託」など、リスク・リターンの違うさまざまな投資信託を、自分の投資目的と投資計画に合わせてバランスよく組み合わせることが大切だ。
コストがかかる
投資信託の利用には大きく分けて2つのコストがかかる。
一つは購入のときに販売会社に支払う「販売手数料」だ。一般的に購入価格の2~3%程度がかかる。最近では販売手数料を無料にした「ノーロード型」と呼ばれるものも登場している。
もう一つ、投資信託を保有している期間中には「信託報酬」という手数料がかかる。これは、投資家のお金を管理・運用してくれることに対して支払うもの。金額は「預けているお金の額の○○%」という感じで決められる。高リスク・高リターンの投資信託の場合は年率で1.5%程度かかることが多いけど、低リスク・低リターンの場合は0.5%未満のものも増えている。
これらの手数料がどれくらいかかるかは窓口となる販売会社や投資信託の種類などによってまちまちだ。場合によっては、せっかく運用利益が出ても手数料分を差し引くと損をすることもある。投資信託で利益を上げるには、こうしたコスト負担もちゃんと考慮しなければならないんだ。
情報収集が不可欠
投資信託は、投資のプロに運用を任せられるのが特徴だけど、だからと言って自分で何も調べなくて良いというわけではない。どんな運用方針で、どんな金融商品に投資するのかといった情報を、事前にしっかり調べてから購入することが重要だ。
チェックすべき基本的な情報の一つは、「基準価額(基準価格)」だ。その投資信託の価格(単価)を示す金額で、投資信託の運用状況の良し悪しを判断する手がかりとなる。具体的には、その投資信託に組み入れられた株式や債券のその時点の価格(=時価)を合計し、購入した投資家の数で割って計算される。運用会社や販売会社のホームページで公表されているほか、新聞にも載っている。
また、投資信託には、運用方針や投資対象、手数料、運用状況などの情報が詳しく書かれた「目論見書」と呼ばれる説明書がある。実際の購入の際には必ず目を通しておこう。
投資信託も株式などと同じで、購入すれば一安心というわけではない。運用購入した投資信託がどんな金融商品に投資をし、その結果がどうなったか、チェックし続けよう。これは販売会社から定期的に送られてくる「運用報告書」で知ることができる。いわば投資信託の「通知表」だ。期待どおりの利益が出ていない場合、その投資信託を手放すことも考える必要がある。そのためにも運用報告書のチェックは欠かせない。
なお、運用成績などをもとに、さまざまな投資信託を独自に評価・ランク付けして、公表している専門機関もある。こうした情報に目を向けておくことも大切だ。