投資ってなぁに?

リスクの種類を知っておこう

株式をはじめとする金融商品のリスクには、いくつかの種類がある。代表的なのは「価格変動リスク」「インフレリスク」「流動性リスク」「デフォルトリスク」の4つだ。ここで簡単に説明しておこう。

価格変動リスク

価格変動リスク
金融商品の値段などが、上がったり下がったりすることによるリスクのことだ。
株式の場合、買ったときよりも上がれば利益を得られるけれど、逆に買ったときよりも株価が大幅に下がってしまえば、大きな損をすることになる。

これが価格変動リスクだ。価格変動リスクは、株式投資の代表的なリスクといえるね。

なお、この価格変動リスクは、市場全体の動きによるもの(市場リスク)と、その企業の特有の問題(個別リスク)によるものと2つに分けて考えることもできるんだ。

インフレリスク
インフレ(インフレーションの略)とは、世の中全体の物の値段(物価)がどんどん上がっていく現象をいう。このインフレが原因で起こるリスクを「インフレリスク」っていう。

キミが手持ちの100円を、金利1%の定期預金で1年間預けたとしよう。単純計算だと、1年後にはキミの預金は101円になる。ところが、物価が5%上がってしまうと、1年前に100円だったハンバーガーは、105円になっている。

インフレリスク

預金でお金がふえたはずが、それ以上のペースでインフレが起こると、お金の価値は結果的に目減りしてしまう。これがインフレリスクだ。

経済が成長すると、物価も上昇していく。資産運用でお金をふやすときには、インフレも考慮に入れて、物価の上昇ペースよりも大きくふやさないと、実質的には損をしたのと同じになってしまう。

統計的にいうと、預金の利息は、インフレの割合に比べると低い水準になりやすい。

銀行の預金は安全確実にお金をふやす手段だといわれているけれど、インフレを考慮に入れると、必ずしも安全確実とはいいきれないんだ。

一概には言えないけれど、株式は、長い目で見ると、経済の成長や物価の上昇にあわせて、値段が上がりやすいという傾向がある。株式は、価格変動のリスクは高い反面、インフレリスクは小さいといわれているんだ。

このような金融商品ごとのリスクの違いは、ぜひ覚えておきたい。

流動性リスク
「流動性」っていうと、難しく聞こえるかもしれないけど、簡単にいうと“お金が必要なときに簡単にお金に換えられないかもしれない”というリスクのことをいうんだ。

もしキミが、ある会社の株式を持っていて、急にお金が必要になったとしよう。
その会社の人に頼んでもお金は返してくれないから、君はその株式を誰かに売らないと、お金は手に入らない。

流動性リスク

ところが、キミに“売りたい”株式があっても、買いたい人(=買い手)が見つからなければ、売ることができない。さらに、売り手が見つかっても、その企業を、ものすごく安い値段でしか買ってくれないということもある。

逆にキミが株式を“買いたい”と思っても、いつも都合よく、売りたい人(=売り手)がいるとは限らない。特に、その企業が発行している株式が少なかったり、売り買いがあまり活発でなかったりすると、売り手が見つかりにくい。

こうした、リスクを「流動性リスク」というんだ。

デフォルトリスク

デフォルトリスク
銀行の預金の場合、原則として、決まった期日に預けたお金が利息と一緒に手元に戻ってくる。
でも、銀行の経営が行き詰まって倒産状態になってしまったら、預けたお金も利息も払ってもらえない場合がある。
こういうのを、「デフォルトリスク」っていう。

株式の場合は、企業は株式を買った人にお金を返さなくてもいい決まりになっている。
だから、企業が潰れるか潰れないかにかかわらず、株式を買った分のお金は基本的には返ってこないことになる(そのかわり、その企業が潰れたりすることのないよう株主は経営に口出しができる)。
だから、株式の場合は「デフォルトリスク」はない、ともいえる。

ただし、株式投資をしている人にとって、企業が潰れてしまうのは困ったことには違いない。
「あの企業は経営がうまくいっていないらしいぞ」という噂が広がると、その企業の株式を持っている人はみんな誰かにその株を売ろうとする。こういうときは、株価はどんどん下がってしまうので、損をしやすい。そして実際に企業が潰れてしまったら、その株式の価値はなくなってしまう。

当たり前のことだけど、しっかりした経営をしている企業を見極めて投資しなくてはダメだ、ということだね。

日野先生からのアドバイス

預金だってリスクはゼロではありません。このあと、リスクと上手につきあう方法を説明していきます。