株式投資における最も基本的な「リスク」は、投資対象の価値(株価)が上下に動くことです。どれぐらい動くのか、7年前の株価と比べてみましょう。
日付 | 株価 |
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2000年6月5日 | 17201.79円 |
2003年4月28日 | 7607.88円 |
2007年6月5日 | 18053.81円 |
過去7年間の騰落率はプラス5.0%程度に過ぎません。しかし、2000年6月5日から2003年4月28日までの期間に区切って見ると、騰落率はマイナス55.8%。その価値は半分以下にまで下落したことになります。一方、2003年4月28日から2007年6月5日までの騰落率はプラス137.3%と、価値は2倍以上に上昇しています。
株式市場全体の平均値をあらわす株価指数でさえ、3年や4年という年月の間には、これだけ上下に動く可能性があるのです。個別銘柄に投資する場合は、動きの幅がさらに大きくなったり、動くスピードがもっと速くなることもあります。こうした変動の激しさから、リスクを「危険」という意味にとらえて、株式投資は怖いと考える人もいるようですが、そうではありません。
株式投資において、すべての投資家はリターン(収益)を得ることを目標や前提としているはずです。そのリターンは原則的に、株価が安い時(買い)と高い時(売り)の差額によって生まれてきます。つまり、株価が上下に動いてくれて初めて、私たちはリターンを得ることができるわけです。
このように株式投資の世界では、「リスク=リターンの源泉」になっています。株価変動というリスクそのものは、リターンを得るために不可欠の要素であり、決して怖いものではありません。もしも人びとが本当に恐怖を感じるとすれば、それはリスク自体に対してではなく、株価が今後どのように動いていくか予想できないという、将来に対する不確実性に対してではないでしょうか。
上場廃止で売りたくても売れなくなる
保有している株式を売りたくても売れなくなるリスクというものもあります。その最も代表的な例が、企業の不祥事などによる上場廃止です。
過去に東京証券取引所が上場を廃止した有名企業には、西武鉄道(上場廃止日=2004年12月17日)、カネボウ(2005年6月13日)、ライブドア(2006年4月14日)などがあります。いずれも有価証券取引書の虚偽記載や粉飾決算などが、東証の定める上場廃止基準に抵触したことが理由です。今年(2007年)に入ってからも、2月に日興コーディアルグループが一時、上場廃止の検討対象となりました(その後、上場維持が決定)。
上場廃止が決まった銘柄は、各証券取引所の「整理ポスト」に移されます。ここはいわば、投資家に提供される最後の売り場にあたるところ。ちなみに今年6月5日現在、東証の第1部、第2部、ジャスダック、マザーズ、大阪証券取引所の第1部、第2部、ヘラクレスの7市場において、延べ10銘柄が整理ポストに置かれています。
整理ポストに移された銘柄は、約1カ月後には上場が廃止され、株式市場から姿を消すことになります。その企業が倒産しないかぎり、投資家が保有する株券は紙クズ(価値がゼロ)にはならないし、配当を受け取る権利や株主議決権なども消滅しません。しかしながら、市場を通じた株式の売買ができなくなるため、事実上、一般の個人投資家が新たな買い手を見つけることは困難になります。