投資信託ってなぁに?

投資信託はいつ生まれた?

現在のように、お金を増やす手段としての投資信託の原型がつくられたのは19世紀のイギリスだ。それがアメリカにわたって一層発展したと言われている。

ユース

ただ、「財産の管理を誰かに任せる」という考え方はもっと古くからあって、中世のイギリスにさかのぼる。12~13世紀頃、十字軍遠征の時代だ。当時は、戦争で死んでしまった人の土地を子が相続する場合、国王や領主に多額の税金を払わなければならなかった。そこで重い負担を避けるために、「ユース」と呼ばれる仕組みが考えられた。これが投資信託の起源の一つだと言われている。

例えば、これから戦地に行くAさんは、自分が戦死した場合、子供のB君に土地を残したいと考える。しかし、そのまま相続すると税金がかかるので、Aさんは自分の土地をあらかじめ信頼できるCさんに譲って、その管理を任せる。そして土地から得られる収益を息子のB君に渡すように頼んでおく。

実際にAさんが戦死してしまっても、土地はCさんの持ち物なので、B君は土地を相続する必要がなく、税金を払わなくても済むし、その土地から得られる収益は受け取ることができるわけだ。

このようにイギリスで生まれた「ユース」というしくみは、お金を増やす目的ではなく、いわば相続税対策のような意味合いで生まれたものだったけど、これが長い歴史の中で発展して、19世紀になると投資手段として活用されるようになった。

当時のイギリスは産業革命を背景に工業生産が伸びた頃だ。世界に植民地を広げ、海外へ投資を進めていた時期にあたる。海外への投資には巨額の資金がいるし、しかも遠く離れた外国の事情についての高度な知識が必要になる。このような投資ができるのは一部の資本家に限られ、個人では無理だった。

そこで個人でも参加できるようにと、多くの人々が少しずつお金を出し合って、深い知識や豊富な経験を持つ人に投資を任せる方法が考案された。これが「投資組合」と呼ばれるもので、1868年には株式会社に改組されて、初めての「会社型」の投資信託が誕生した。その後、アメリカに渡っていっそう発展し、多種多様な投資信託が開発されたんだ。

参考文献
投資信託50年史[概況編] 社団法人 投資信託協会
信託の法務と実務 きんざい
図解よくわかる信託と信託ビジネス 学陽書房

日野先生からのアドバイス

日本では1941年に野村證券がはじめて投資信託業務の認可を受けました。それ以来、投資信託は長い時間をかけて少しずつ進歩してきています。