いま聞きたいQ&A

そもそもなぜ、「分散投資」が重要といわれるのですか?

分散投資の目的は投資のリスクを下げること。国内株式、国内債券、外国株式など複数の資産を少しずつ持つ「資産分散」。値動きの性質が似た銘柄を避ける「銘柄分散」、購入の時期を分散する「時間分散」の3本柱が基本です。

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基本は「資産分散」「銘柄分散」「時間分散」の3種類

分散投資の具体的な内容としては、「資産分散」「銘柄分散」「時間分散」の3種類が挙げられます。このうち資産分散と銘柄分散の重要性については、投資の世界でよく語られる「たとえ話」があるので、それを使って説明してみましょう。

●資産分散/ひとつのカゴにすべての卵を盛ってはいけない。

例えばいま、手元に4つの卵があるとします。ひとつのカゴに4つの卵すべてを入れた場合、カゴを地面に落としたら卵は4つとも割れてしまいます。カゴを4つ用意して、それぞれに卵をひとつずつ入れておけば、カゴをひとつ落としたとしても、割れる卵はひとつだけで済みます。

この話の卵を「投資する資金」に、カゴを「投資する資産の種類」に置き換えてみてください。資金(卵)のすべてを「国内株式」という資産(カゴ)に集中させたら、どうなるでしょうか。日本の景気が悪化して日本株が全体的に下がるような時期には、あなたの投資成績も下がって損失が出やすくなります。

そこで、資金をいくつかの部分に分けて、「国内株式」だけでなく「国内債券」や「外国株式」「外国債券」など(*1)複数の資産に少しずつ分散させることが重要になります。これならば、たとえ日本株が下がっても、他の資産のいずれかが上がるなどして、損失が一部にとどまったり、全体として利益が出ることが期待できるからです。

(*1)「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」という4つの大きな資産グループは、投資の世界で「主要4資産」と呼ばれ、それぞれおおよそ異なる値動きをするとされています。

●銘柄分散/売れ方の性質が似ている食べ物をそろえてはいけない。

あなたが、夏場に2つの食べ物を売ることになったとしましょう。2つのうちひとつは「アイスクリーム」と決まっています。もうひとつは、どんな食べ物にしたらいいでしょうか。

「かき氷」や「ひやむぎ」のように、アイスクリームと売れ方の性質が似ているものをそろえると、猛暑の年には両方とも売れやすいですが、冷夏の年には両方とも売れなくなる恐れがあります。「おでん」や「カップ麺」のように、アイスクリームとは売れ方の性質が異なるものをそろえると、猛暑の年でも冷夏の年でもどちらかが売れて、売れ行きが平均化することが期待できます。

この話の食べ物を「投資する株式銘柄」に、売れ方の性質を「値動きの性質」に置き換えてみてください。あなたがすでに自動車メーカー(*2)の株式に投資していて、もうひとつ、新たな銘柄への投資を検討しているとします。そのとき他の自動車メーカーを選ぶと、2つの銘柄はいわば同類なので、値動きの性質が似通ってくると考えられます。

値動きの性質が似た銘柄をそろえると、株価が上がりやすい時期には両方上がる一方で、株価が下がりやすい時期には両方とも下がって「全滅」になってしまう恐れがあります

そこで、例えば食品メーカーやコンビニ(*2)のように、値動きの性質が自動車メーカーとは異なる銘柄を選ぶことが重要になります。値動きの性質が異なる銘柄をそろえておけば、一方が下がっても、もう一方が上がるなどして、全体として株価の変動を小さく抑えられる可能性が高くなるからです。

(*2)日本株のなかで自動車メーカーなどは、株価が世界的な景気の良しあしに左右されやすい「景気敏感株」として知られています。食品メーカーや小売業などは、株価が景気の影響を受けにくい「ディフェンシブ株」として知られています。

「積み立て投資」で購入の時期を分散しよう

もう一つの時間分散とは、どのようなものでしょうか。

あなたが株式や投資信託を購入するとき、いちばん望ましいのは、それらの価格が安いときに一括して(資金をまとめて)購入することです。しかし、株式や投資信託の価格が安い時期を見計らってタイミングよく購入するのは、投資経験が豊富なベテランでも難しいのが現実です。反対に、いちばん避けたいのは、価格が高いときに一括して購入することです。理由はいうまでもなく、投資の効率が悪くなるからです。

そこで時間分散、つまりは「購入(投資)の時期を分散する」ことが重要になります。方法はいたって簡単で、毎月決まった金額ずつ、同じ投資対象を継続的に購入していく「積み立て投資」(*3)という手法を使うと、時間分散が自動的に実現します。

積み立て投資では、投資対象の価格が高い月には少ない量を、安い月には多い量を購入することになるため、結果として平均購入単価を引き下げる効果が期待できます。

価格が高いときに多くの量を買いすぎないで済むことに加えて、価格が下がったときは普段よりも多くの量を買うチャンスと考えることができます。これらは投資の効率面はもちろん、心理面でもうれしいメリットといえるのではないでしょうか。

(*3)少額投資非課税制度の「つみたてNISA」では、対象商品の購入方法として、積み立て投資のみが採用されています。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。