1. いま聞きたいQ&A
Q

長期の積み立てに適した投資対象を教えてください(前編)

3つの株価指数を組み合わせて世界全体に投資する

積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」や個人型確定拠出年金「iDeCo」を利用して、これから投資信託などの金融商品をコツコツ積み立てていこうと考えている人も多いかと思います。例えば投信を定期定額購入で長期にわたって積み立てていく場合、どのような観点から、どのようなタイプの商品を選ぶのがいいでしょうか。

まず考えられるのが、日本や外国の株価指数に連動するインデックス型投信を組み合わせて、世界中の株式に投資するという方法です。この場合、世界経済全体の長期的な成長をリターンとして取り込めること、対象銘柄数の多さから分散投資の効果が十分に期待できること、投資コストを相対的に低く抑えられること、などがメリットとして挙げられます。

インデックス型投信の連動対象となっている世界の株価指数のうち、代表的なものをいくつか紹介しておきましょう。米国の指数算出会社MSCIが提供する「MSCIワールド指数」は、日本を含む23カ国・地域の先進国・1648銘柄で構成されています。同じく「MSCIコクサイ指数」は、日本を除く22カ国・地域の先進国・1327銘柄で構成されるものです

すでに日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動する投信を保有している人は、そこにMSCIワールド指数に連動する投信を組み合わせると、日本株の部分が重複してしまいます。そうした重複を避けながら先進国全体に投資したい場合には、MSCIコクサイ指数に連動する投信を組み合わせると便利です。

このほか新興国を幅広くカバーする株価指数として、24カ国の新興国・845銘柄で構成される「MSCIエマージング・マーケッツ指数」があります。例えば①日経平均株価②MSCIコクサイ指数③MSCIエマージング・マーケッツ指数という3つの株価指数に連動する投信をそれぞれ購入して組み合わせると、世界全体にくまなく投資することが可能になります。

こうした日本を含む全世界株型の投資を1つの指数で行うこともできます。「MSCIオールカントリー・ワールド指数」は、先進国と新興国を合わせた47カ国・地域の2493銘柄で構成されるもの。また、英国の指数算出会社FTSEが提供する「FTSEグローバル・オールキャップ指数」は、同じく47カ国・地域を対象に中小型株も含む7782銘柄で構成されています。(※指数を構成する国数と銘柄数は、MSCI各指数が2018年4月末時点、FTSEグローバル・オールキャップ指数が2018年1月時点)

値動きのブレが大きいほど積み立て対象としてふさわしい?

「日本株+先進国株(日本を除く)+新興国株」といった指数の組み合わせを行う際には、それぞれの投資比率をどのように設定すればいいのか気になるところです。前出のMSCIオールカントリー・ワールド指数における各地域の構成比率は、株式の時価総額比率を反映しておおむね日本株10%、先進国株(日本を除く)80%、新興国株10%となっています。この比率を参考にして、各指数に連動するインデックス型投信への資金配分を決める手がありそうです。

一方で、将来的に高成長を期待できる新興国株への投資比率をもっと増やしたいという人や、逆に将来も日本円で生活するのだから日本株への投資比率はもっと高くてよいという人もいるでしょう。あるいは株式は値動きが激しいので、たとえ少額ずつの積み立てでも大きく値下がりするリスクが不安だという人もいるかもしれません。

一般論として、長期の積み立て投資では価格変動リスクが大きい(値動きのブレ幅が大きい)投資対象を選んだ方が、最終的に大きなリターン(収益)につながりやすいと言われています。これは定期定額購入において、投資対象の価格が低いときには購入数が多くなり、価格が高いときには購入数が少なくなるという仕組みによるものです。

価格変動リスクが大きいインデックス型投信では、時として基準価額が大幅に下がるケースもありますが、その際に「低い購入単価」で「多くの口数」を購入できるため、基準価額がいざ上昇に転じると収益が一気に膨らむという効果がもたらされやすいわけです。こうした観点に立つならば、長期で積み立てる対象としては、ハイリスク・ハイリターンといわれる新興国株を中心に考えるのが一見ふさわしいように思えます。

実際にMSCIエマージング・マーケッツ指数の値動きをみると、今年(2018年)5月末までの過去20年間では年平均リターンが7.2%、年平均リスク(標準偏差)が25.0%で、いずれも他の世界株指数を大きく上回る数字でした。この指数を20年間にわたって毎月定額購入した場合、累計投資額に対して資産は最終的に2.61倍まで増えた計算となり、同期間中のMSCIコクサイ指数(2.33倍)やMSCIオールカントリー・ワールド指数(2.30倍)を上回っています。

ところが投資期間を過去10年間にとると、エマージング・マーケッツ指数の積み立て成果は1.55倍となり、逆にコクサイ指数(2.02倍)やオールカントリー・ワールド指数(1.95倍)を下回っています。このように、同じ新興国株指数でも投資期間によっては値動きの性質が変わることもあるため、長期積み立て投資の対象として常に有望とは限らない点に注意が必要です

次回は長期で積み立て投資を行うことの意味も含めて、引き続きこの話題について考えます。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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