1. いま聞きたいQ&A
Q

初心者がこれから投資を始める際は、何から手をつければいいですか?(前編)

闇雲な投資は宝くじを買うのと変わらない?

投資資金額や投資期間をどれぐらいに設定するか、そして投資対象や取引する金融機関はどれを選ぶのか――。たとえあなたが投資の初心者だとしても、これから実際に投資を始めるにあたって最低限、考えるべきことや決めるべきことがたくさんあります。なかでも判断が最も難しく、なおかつその判断が最もあいまいになりやすいのが、投資対象をどうするかという問題でしょう

例えば投資金額を決めるにあたっては、ほとんどの人が自分の経済状況と相談しながら、おおむね現実的な判断を下せるはずです。通常の買い物と同様に、投資においても誰もが極力「身の丈に合わない出費」は避けたいと考えるからです。

ところが投資対象を選ぶ際には、意外にも判断基準が“ラフ”になる人が少なくありません。株価が上がると「自分も株式を買ってみよう」と思う人が増えたりするのは、その典型でしょう。投資はできるだけ安く買って高く売るのが基本です。どれだけ株高で世の中がざわつこうとも、その恩恵に自分もあずかりたいという欲目だけで闇雲に株式投資を始めるのは、賢明な選択とはいえません。

初心者にとっては株式だけでなく債券や投資信託、為替など、あらゆる投資対象が未知なる存在です。どうせ何も分からないのだから、勉強のつもりで片っぱしから手をつけてみるのもひとつの方法ではないか、という意見もあるでしょう。しかし、そのような投資では結果が運まかせとなり、宝くじを買う場合と変わらなくなってしまいます。せっかくなら単に投資の経験を積むだけでなく、投資という行為を通じて何かひとつでも具体的に学習したという実感を得たいところです

かといって、いきなり細部に頭を突っ込むのも考えものです。株式には「PER(株価収益率)」や「PBR(株価純資産倍率)」など株価の割安さを示す指標があり、投資信託にもリスクに対して得られたリターンの効率性を示す「シャープレシオ」という指標があります。これらは確かに株式や投信の「個別銘柄選び」にはある程度役立ちますが、どちらかといえば投資の中級者や上級者に向くものであり、初心者が用いる判断材料として有効かどうかは疑問です。

初心者がこれから投資を始めるにあたってまずやるべきことは、経済・金融の世界でいま何が起きているのかという現状把握ではないでしょうか。大きな意味は2つあります。ひとつは現状把握が投資の世界になじむための第一歩になると同時に、投資対象を選ぶ際の有力な一助にもなり得るということ。もうひとつは、今日の経済・金融情勢がきわめて異例の状況にあるため、従来以上に現状把握の重要性が高いと考えられることです。

米国の金利上昇がドル高に直結しない理由

すでに何度か紹介してきたように、日米欧をはじめとする先進国は現在、金融政策の正常化に向けて動き始めています。その背景には、リーマン・ショックから10年近くが経過してようやく世界景気が回復軌道にのり、一部の国で物価や賃金が上昇するなどインフレ懸念が高まってきたという事情があります。こうした状況下では、当然のことながら市場金利は上昇へ向かいます。実際にいち早く利上げを始めた米国では、すでに長期金利が3%近くまで上昇してきました。

さて、問題はここからです。インフレ率の上昇も金利上昇も一般には経済の好調さを表すうえに、金利が上がれば国債などの投資魅力も高まるため、金利が高い国では通貨の価値も高まりやすくなります。現在でいえば、相対的に金利が高くなった米国に世界の投資マネーが流れ込むことで、米ドルは他国の通貨に対して高くなるというのが通常の考え方です。

ところが一方で、米国ではトランプ政権が1.5兆ドルという巨額の減税を成立させ、さらに同じく1.5兆ドルのインフラ投資や国防費の大幅な積み増しも計画しています。今年(2018年)秋に中間選挙を控えて国民の支持を得たい政府が、景気対策としてマネーの大盤振る舞いをアピールしている格好です。歳出の増加によって米国では財政赤字の急拡大が予想されるため、こちらは米ドルの売り材料となります。

また、ここにきてFRB(米連邦準備理事会)だけでなくECB(欧州中央銀行)や日銀にも金融緩和の出口を意識した言動が目立つようになってきました。これから欧州や日本でも金利の上昇傾向が強まれば、米国における金利上昇のインパクトが薄まって、米ドルの人気低下=ドル売りにつながるとも考えられます。

このように最近の為替市場では、米国の景気や金利動向、経済政策をめぐってドル高圧力とドル安圧力が綱引きをしているような状態にあります。さらにはその動きに債券や株式なども呼応し合って、いずれの金融市場についても先行きが非常に見通しづらくなっています次回は引き続き経済・金融の現状把握を進めながら、初心者が投資にアプローチする方法についても少し考えてみようと思います。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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