1. いま聞きたいQ&A

この記事は2019年12月18日に更新されていますので、こちらをご参照ください。

国債の価格と利回りが上下する仕組みについて、分かりやすく教えてください。
(2019年12月18日)
Q

国債の値段(価格)が上がると金利(利回り)が下がり、価格が下がると利回りが上がるのはなぜですか?

日本の国債は年間に支払われる利息の割合を示す金利(表面利率といいます)が固定した商品です。券面に書かれた額面金額(基準は100円です)に、券面に書かれた利率、例えば2%をかけると年間の利息収入は額面100円に対し2円(税引き前)となります。国債を額面合計で100万円保有していれば、年間の利息収入は2万円(同)になる計算です。

国債の利息は定期的に支払われます。1年1回、半年ごと年2回というのが一般的です。
国債は様々な種類が発行されており、発行期間に限れば1年未満から30年まで広がっています。普通、発行期間1年以内の国債を短期国債、発行期間1年超から3~5年までの国債を中期国債、発行期間10年の国債を長期国債、発行期間20年以上の国債を超長期国債と呼んだりしています。利息は発行期間が残っている限り支払われ、満期が来ると額面100円の金額が戻ってきます。
これを満期償還といいます。

国債は急にお金が必要になった時などには発行期間の途中で売却することもできます。

いったん発行された国債を売り買いするところが国債流通市場です。具体的には証券取引所や証券会社、金融機関などの店頭などで売買されます。国債は各種の金融商品の中でも換金性、言い換えれば流通性が最も高いといわれています。流通市場での価格はその時々の金利情勢に応じて、価格が上がったり下がったりします。

例えば、1992~93年当時に発行された10年国債の表面利率は4~5%台でした。今の低金利時代から考えると、相当に高い金利水準です。これだけ高い金利を毎年受け取れるなら、額面100円に少し上乗せ分(プレミアムともいいます)を付けても買いたいと思う人も出てきます。逆に、表面利率1%そこそこの10年国債も超低金利時代には発行されました。これなどは額面100円を下回って多少損を出しても早く売ってしまい、別の有利な金融商品に預け替えたいと思う人が表れても不思議はありません。
こうして、同じ額面100円の国債でありながら、流通市場で売り買いされる時は価格が上に下に変動するのです。

復習しましょう。支払われる国債の利子は「券面の金額(額面)×券面の利率(表面利率)」で固定されています。 つまり、額面金額より高い値段で買えば、その国債の利回りは券面に書かれた利率より低くなります。逆に額面より安い価格で買えば、その国債の利回りは券面に書かれた利率より高くなります。表面利率5%の国債を額面100円に対し90円で買えれば、利回りは年5.55%余となりますし、逆に表面利率5%の国債を額面100円に対し110円のプレミアム価格で購入すれば、利回りは年4.55%弱となります。流通市場での価格は売りたい人と買いたい人の力のバランスで決まります。

国債は国の借金。投資家の立場からいえば、国内で最も信用できる相手への貸し出しです。
企業向けローン、住宅ローンなど他の金利は国債の利回りに数%上乗せされた水準で決まります。国債の利回りが変化すれば、様々なローン金利、預貯金金利も変化するのです。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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