1. いま聞きたいQ&A
Q

債券投資において金利はどのような意味を持つのでしょうか?

価格が動くことで利回りが変わる

債券は国や地方自治体、企業などが資金を調達するために発行する証券のことで、発行体ごとに「国債」「地方債」「社債」などの種類があります。発行時に満期(償還)までの期間と金利が決められ、私たちが購入すると一般に年2回、利息を受け取ることができます。満期まで保有した場合には元本も戻ってきます。こうした点では銀行の「定期預金」や、ゆうちょ銀行の「定額貯金」などに似ていますが、債券がいわゆる預貯金と異なるのは、金利が相対的に高いことと、一部の種類を除いて価格が毎日変動することです。

たとえば、国債と定期預金の金利(年換算の利率、税引き前)を比較してみましょう。

毎月発行され、5万円以上5万円単位で購入が可能な「固定利付国債」の利率は、2008年12月8日発行分(募集期間は11月10日~26日)で、2年物が0.6%、5年物が1.0%、10年物が1.5%となっています。預け入れ金額が1,000万円以上の「大口定期預金」の利率は、2008年11月25日現在、期間2年が0.350%、期間5年が0.550%、期間10年が0.700%です。満期までの期間が10年のもので比べると、現時点では固定利付国債の方が2倍以上、金利水準が高いことになります。

固定利付国債や大口定期預金の「利率」とは、国や銀行が投資家(購入者)に対して「1年間にこれだけの利息を払うので、お金を貸してください(国債や定期預金を買ってください)」と、最初の売り出し時に約束する金利をさし、「表面利率」とも呼ばれます。ただし、固定利付国債は株式のように市場で売買されるため、利率のほかに「売買価格」も付いており、その価格は発行後に毎日変わります。

基本的に国債の利率は市中金利(世の中の金利)に連動して決まるので、市中金利が上昇すると、それに応じて新たに発行される国債の利率も上昇することになります。たとえば利率2%の固定利付国債が新たに発行された場合、それ以前に発行された利率1.5%の固定利付国債は運用面で不利なので、そのままでは誰も購入しようと思わないでしょう。しかし、国債は満期まで保有すれば額面金額で償還されるため、額面よりも低い価格で購入できれば、投資家は償還時に額面金額との差益を得ることができます。

「額面100円、利率1.5%」の固定利付国債の価格が99.5円まで下落すると、それを購入する投資家にとって、新たに発行された利率2%の固定利付国債を額面で買うのと運用条件が同じことになります。

このように債券は、市場で売買されない「個人向け国債」を除いて、市中金利が上昇すると債券価格が下落し、市中金利が下落すると債券価格が上昇する関係にあります。上記のように利率1.5%の固定利付国債を99.5円で購入して、額面100円で償還を迎えた場合に得られる1年あたりの運用益2%は、その国債の「年平均利回り」と呼ばれ、表面利率と区別されています。

市中金利の上昇にまつわるリスク

逆に考えると、利率1.5%の固定利付国債を額面100円で購入した人にとっては、価格が99.5円まで下落した時点で売却すると、額面金額との差損が発生してしまい、当初に期待した運用益が得られないことになります。かといって、その国債を償還まで持ち続ければ、市中金利が上昇して利率2%で運用できるチャンスをみすみす逃すことになります。これが債券における代表的な「金利変動リスク」と言われるものです。

実はその点で有利なのが、価格が変わらない「個人向け国債」です。1月・4月・7月・10月の年4回発行され、1万円以上1万円単位で購入が可能なこの国債には、「5年固定金利」と「10年変動金利」の2タイプがあります。それぞれの利率は、2008年10月の発行分で前者が0.99%、後者が0.69%となっています。後者は半年ごとに利率が見直されるため、0.69%という利率が適用されるのは、2008年10月16日から2009年4月15日までの期間です。

10年変動金利タイプの適用利率は、「直近の固定利付国債10年物の利率-0.80%」と定められているため、固定利付国債と比べればかなり低い水準になっており、現時点では大口定期預金の利率も下回っています。しかしながら、市中金利が上昇した場合には、それに連動して半年ごとに適用利率も上昇します。もちろん市中金利が下落した場合には、それに応じて利回りは低下することになりますが、少なくともこのタイプには市中金利の上昇にまつわるリスクが事実上、無いわけです。金利情勢を含めて経済環境が不安定ななか、とくに資産運用の初心者にとって、長期投資の一環として10年変動金利タイプを活用する意義は大きいかもしれません。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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