Q.「とりあえずインデックス投資」で大丈夫? これからの資産形成を考える
【この記事でわかること】
- 初心者でも手軽に取り組めるインデックス投資
- リスク低減へ向けて国・地域の分散も重要に
- アクティブ投資を加えてリターン向上を目指す手も
20~30代の若い世代を中心に、とりあえず周囲にならってインデックス型の株式投資さえやっておけば、資産形成は大丈夫と考える人が多いようです。機械的な運用の留意点についても理解したうえで、それを補う工夫を凝らすことが大切です。
第一歩としてインデックス型の株式投資は良い選択
初心者でも手軽に取り組める投資の方法として、「インデックス型株式投資信託」を購入する人が増えています。
このタイプの投資信託では、市場全体の値動きを示す株価指数への機械的な連動を目指して運用が行われます。個人投資家にとっては、自動的に多くの株式銘柄への分散効果が見込めるほか、運用コストに当たる信託報酬率が相対的に低い点も大きな魅力です。
今年(2026年)9月末時点で最も資金を集めているのは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(以下、オルカン)です。今年社会人になった皆さんのなかにも、NISA(少額投資非課税制度)を活用して、オルカンなどの積み立て投資を始めた人は多いかもしれません。
投資の初心者が「第一歩」としてインデックス型の株式投資に取り組むのは、運用の効率性や分かりやすさという点から見て良い選択といえるでしょう。しかし、皆さんが今後20年~30年といった長期で資産形成を目指すにあたっては、どうなのでしょうか。
時価総額が大きい米国企業への投資比率が高くなる
例えば、オルカンは今年9月末時点で全世界の株式2359銘柄に投資していますが、国・地域別比率は米国が63.4%、日本が5.2%、新興諸国が12.0%と、かなりの偏りが見られます。
オルカンが連動を目指す全世界株価指数は、時価総額(株価×発行済株式数)が大きい銘柄ほど、指数における構成比率が高くなる仕組みです。近年は特に米国企業が時価総額を大きく伸ばしているため、指数に占める米国企業の構成比率は自然と高くなるわけです。
こうした現状について、国・地域ごとの「成長性の偏り」が反映されたものだから、素直に受け入れるべきという意見もあります。ただし20年後、30年後も米国企業の成長性が群を抜いて高いとは言い切れません。
将来的な経済状況が予測できないからこそ、リスクの低減を図るという観点から、投資する国・地域をできるだけ分散しておくことも重要です。インデックス型の株式投資では、オルカンに加えて日本株や新興国株に特化したタイプの投資信託も購入するなど、地域分散の工夫を検討してみたいところです。
成長性の高い銘柄を安値で売らざるを得ないケースも
一般論として、株式投資はできるだけ安値で買い、できるだけ高値で売ることが基本です。ところがインデックス型の株式投資では、株価指数への連動を目指す関係上、株価が高くなった銘柄は買い、安くなった銘柄は売る必要に迫られます。
株価の変動には投資家心理なども影響を及ぼすため、必ずしも各銘柄の成長性を反映しているとは限りません。そのためインデックス型の株式投資では、結果として成長性の高い銘柄を安値で売ったり、成長性の低い銘柄を高値で買ったりすることで、収益性の低下を招く可能性があります。
リターン向上という観点では、投資のプロが有望な銘柄を選ぶ「アクティブ型株式投資信託」を運用資産に加えるのも一考に値します。ただし、このタイプは信託報酬率が相対的に高いことや、運用の再現性に課題があるとの指摘があります。できる限り信託報酬率が低く、過去の長期にわたって好成績を残している商品に投資すべきでしょう。
なお、最近は国債など債券の利回りも上昇しているため、個人の資産形成では株式だけでなく債券にも投資してリスクを低減すべきとの声も聞かれます。この点については、どう考えるべきでしょうか。
株式は短期的には債券より大きな価格変動リスクがありますが、20年以上の長期ではリターンの高さが価格下落のリスクを補う効果が期待できます。現在20代前半の皆さんなら、十分に長い運用期間を取れるため、当面は株式中心の運用で差し支えないでしょう。(チームENGINE 代表・小島淳)