消費税 利上げ 円安
いま聞きたいQ&A

Q.「円安」のメリットとデメリット、どちらが大きいのか?

【この記事でわかること】

  • 円安が日本にもたらすメリット
  • 最近は輸入面のデメリットが目立つ
  • 為替レートが動くメカニズム

円安は日本にとってメリットもあれば、デメリットもあります。以前は輸出面のメリットが大きいと言われていました。最近はインフレ傾向とも相まって、国内の物価高につながる輸入面のデメリットが問題視されるようになっています。

メインビジュアル

輸出やインバウンド、海外投資などには有利

円・ドル為替レートは今年(2026年)7月下旬に1ドル=163円台を記録し、約40年ぶりの円安水準となりました。まずはこの円安が、日本にどのようなメリットをもたらすのか考えてみましょう。

円安になると、日本企業が海外へ輸出する製品の「現地価格」が下がります。例えば3万円の製品を米国へ輸出する場合、為替レートが1ドル=100円ならば、米国内の価格は300ドルです。1ドル=150円まで円安が進むと、米国内の価格は200ドルになります。

米国民はまったく同じ日本からの輸入品を、円安時には以前より安く買えるようになるわけです。これは日本企業にとって、製品を海外で販売しやすくなる、すなわち輸出品の国際競争力がアップすることを意味します。

円安が進むとインバウンド(訪日外国人)需要の増加も期待できます。日本を訪れた外国人が外貨を円に交換する場合、円安になるほど得られる円の金額が増加します。より多くの円を手にした外国人が日本国内で消費を増やせば、日本の観光業や飲食店などにとっては売り上げの増加につながります。

近年は日本の個人の間で、海外の株式に投資するタイプの投資信託が大きな人気を呼んでいます。このように日本人が海外資産で運用する際には、たとえ海外資産の価値が変わらなくても、購入時から円安が進むだけで為替差益が得られます。

輸入価格の上昇は暮らしへの影響が大きい

一方で、円安は日本にどのようなデメリットをもたらすのでしょうか。

日本は食料の約6割(カロリーベース)、エネルギーの8割以上を海外からの輸入に頼っています。円安になると、これらを輸入する際の支払い金額が増加します。

日本企業にとっては資源調達のコストが上昇するため、その分を国内で価格転嫁する傾向が強まります。結果として食料品や電気代、ガソリンなどの値上がりを招き、日本人の暮らしへの影響が非常に大きくなります。

円安に関して、以前は輸出面のメリットがクローズアップされていました。ところが21世紀に入って以降は、日本企業が生産拠点を海外に移すケースが増えたことから、輸出面のメリットはそれほど目立たなくなっています。

代わって目立つようになったのが、輸入面のデメリットです。特にここ数年は国内でインフレが進んだこともあり、円安を「物価高の一因」として問題視する声が強まっています。

円とドルの金利差が縮小すれば円高の可能性も

為替レートは、どのようなメカニズムで動くのでしょうか。短期的には「円と外貨の金利差」による影響が大きいと言われています。

金利が相対的に高い国の通貨ほど、投資家にとっては魅力が大きいため、金利が低い国の通貨は売られやすく、金利が高い国の通貨は買われやすくなります。

現在の政策金利は日本が1.00%、米国が3.50~3.75%なので、円とドルにはかなりの金利差が生じています。ただし、今年6月に日銀が利上げを行ったことで、両者の金利差は以前より縮小しました。

今後、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じるか、もしくは日銀が追加の利上げを行って金利差がさらに縮小すれば、円安から円高に転じる可能性もあります。逆にFRBが追加の利上げを行えば、金利差は拡大するため、円安の圧力が続くことになります。

日本人が米国企業のデジタルサービスを利用したり、米国株などに投資する際には「円売り・ドル買い」が発生します。近年ではその規模が大きく膨らみ、円安の要因として看過できないレベルとなっています。

また、政府が掲げている積極的な財政出動は、国としての借金増加(国債の増発)を連想させます。円が世界的な信用を損なう可能性があり、それが円売り=円安につながるという側面も見逃せません。(チームENGINE 代表・小島淳)

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。