1. いま聞きたいQ&A
Q

コロナ後の投資について、何かヒントになる考え方はありますか?(後編)

10年間保有のベターな選択肢は時期によって変わる

S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数が今年(2020年)9月にそろって史上最高値を更新するなど、コロナ禍においても米国株相場の勢いには衰えが見られません。すでに10年以上も上昇基調が続いていることから、ここ数年は米国株相場の調整入りを懸念する声も絶えませんが、そんな市場関係者の不安は見事に裏切られてきたのが実情です。

日本の個人が最近、インデックス型投信などを通じて米国株指数への投資を増やしているのも、こうした長期の上昇力に着目してのものと思われます。ただし、相場は好不調を繰り返すのが常であり、過去の上昇基調が今後も続くという保証はどこにもありません。

例えばS&P500指数は、1987年末~97年末の10年間には4.2倍に上昇しましたが、99年6月末~2009年6月末の10年間にはほぼ半値にまで下落しました。そして10年9月末~20年9月末の直近の10年間では、約3倍に上昇しています。

円ベースの騰落率を比較すると、直近の10年間でS&P500指数は日経平均株価、先進国株指数(日本を除く)、新興国株指数(*)のいずれも大きく上回っています。結果論になりますが、日本の個人にとって、この期間においては米国株に投資しておくのがベターな選択だったと言えるのかもしれません。

一方で、前述した99年6月末~09年6月末の10年間に新興国株指数は1.5倍となり、半値まで下落したS&P500指数とは対照的な騰落率となっています。「過去10年間保有し続けた結果」を各時点で見ると、07年から14年にかけてはおおむね新興国株指数がS&P500指数を上回っており、同じ10年間保有でも時期によってベターな選択となる投資対象は変わることが分かります。

ナスダック指数をS&P500指数で割った比率は、過去数年で急上昇しており、最近の数値は2000年のIT(情報技術)バブル期に匹敵する高水準となっています。ITバブル崩壊後にナスダック指数は長期低迷を続け、09年前半には99年末の約3割まで下落が進みました。今回も同様の相場調整が起きるとは限りませんが、少なくとも相場の過熱が危惧される程度までナスダック指数が上昇していることは事実です。

S&P500指数もナスダック指数も、今後の相場展開について楽観するほどの根拠はなく、統計的に見てもやはり不確実性が高いと言えそうです。1年以内の短期で売り抜けるつもりの人は別として、5年以上の中長期で米国株指数への投資を考える場合には、先進国株や新興国株、さらには日本株など値動きの異なる他の株価指数も加えて分散投資を図った方が無難ではないでしょうか。

(*)先進国株指数(日本を除く)=MSCIコクサイ指数、新興国株指数=MSCIエマージング・マーケッツ指数

変革の機運が高い日本企業にも目を向けてみる

ところで、日本株といえばウォーレン・バフェット氏の率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが、伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5大商社株をそれぞれ5%超(出資比率)ずつ保有したことが大きな話題を呼んでいます。

実は、これら日本の総合商社は「万年割安株」として知られた存在です。事業が多岐にわたる上に投資会社としての性質も持つため、以前から企業価値の評価が難しいと言われてきました。最近では総合商社の展開する資源ビジネスが、コロナの影響による業績悪化懸念と、環境保全を重視する「ESG投資」の世界的な広がりという両面から逆風を受けており、海外の投資家からは基本的に敬遠される傾向が強いと言えます。

総合商社はここ数年、デジタル化や消費者関連といった非資源分野へ事業の構造転換を進めており、19年3月期には三井物産を除く4社が過去最高益を記録しました。しかし、その後も伊藤忠商事以外はPBR(株価純資産倍率)が1倍以下に低迷するなど、利益成長力の割には市場の評価が低い状態が続いています。

今回のまとめ買いについては、総合商社という日本独特のビジネスモデルが、バフェット流バリュー(割安株)投資のお眼鏡にかなったと前向きに評価する声も多く聞かれます。一方で現実論としては、米国企業に偏った投資先の分散や、バークシャーが傘下に抱えるエネルギー関連企業との協業など、バフェット氏にはさまざまな思惑があるようで、単純にバリュー投資とは言い切れないのかもしれません。

ただし、これを機に海外の投資家が日本株を見直す可能性があるほか、市場関係者の間では「変革の機運や成長期待が高い他の割安株を探すきっかけになる」という期待も広がっています。特に企業の変革は皮肉にもコロナが背中を押す格好となっており、今後5年程度で大変身を遂げるといった事例も多く出てくるのではないでしょうか。私たち日本の個人も、身近な日本企業の事業展開にいま一度、じっくりと目を向けてみる必要がありそうです。

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