1. いま聞きたいQ&A
Q

投資や資産運用で自分の“納得度”を高めるためには、どうすればいいですか?

知識や経験そのものよりも、解釈や意味付けが重要

多くの日本人にとって、投資や資産運用はいまだに「非日常的で特殊な行為」にあたるのではないかと思われます。であるがゆえに、自分のなかでそうした行為の“納得度”を高めるためには、やはり非日常的で特殊な知識や経験が必要になる、と多くの人が感じているように推察されます。

確かに経済や金融に関する知識は豊富であるに越したことはないし、実際に投資の経験をそこそこ積んだからこそ見えてくるコツのようなものもあるでしょう。しかし、たとえ知識や経験が乏しかったとしても、それらをどのように解釈し、どのように意味付けるかによって、投資の世界はずいぶん違って見えてくるような気がします。

そもそも投資という行為自体、その解釈は人それぞれではないでしょうか。例えば今後20年間にわたって毎月3万円ずつ積み立て投資を行うと仮定した場合、投資総額は720万円になります。あなたなら、20年後にその720万円がいくらまで増えていたら、投資を“成功”とみなしますか? あるいは20年後の投資成果がちょうどプラスマイナスゼロだったとしたら、その投資に満足できますか、それとも不満ですか?

なにぶん20年後という将来に関することなので、現段階で答えを出すのは難しいという人も多いかもしれません。ただ、いずれにしてもこの種の自問自答は、投資の知識や経験の多寡に関係なく、万人にとって必要な確認事項であることは明らかでしょう。なぜなら、その答えによっては自分の投資すべき対象が変わってくる可能性があるからです。

米国債の商品性は為替次第で大きく変わる

日本の個人の間では、投資を通じて資産を増やすことに興味はあるけれど、一方で元本割れはできるだけ避けたいという意識が相変わらず根強いようです。そんな人たちは、例えば債券という投資対象についてどのように考えているのでしょうか。

債券の最大の特徴は、保有期間に応じて一定の利息が受け取れるうえ、満期まで保有すると投資元本も戻ってくるという点です。途中で債券の発行体がデフォルト(債務不履行)に陥らないかぎり、この特徴は生きてくるため、国家としてのデフォルトが考えにくい日本や米国の国債などは、投資商品でありながら事実上の元本保証商品であるといえます。

わが国で今年(2019年)2月15日に発行された「個人向け国債」の利率をみると、固定5年物が年利0.05%、変動10年物の当初利率も同じく年利0.05%となっています。さて、この0.05%という金利水準は高いのでしょうか、低いのでしょうか。大手銀行の定期預金の利率は現在、預入額が1,000万円以上の大口定期10年物でも年利0.01%にすぎません。それと比較すれば、同じ元本保証で1万円から手軽に購入することができ、しかも大口定期預金の5倍の年利が付く個人向け国債はなかなか魅力的にも映ります。

しかしながら、個人向け国債が大ヒット商品になったというニュースは聞こえてこないので、実際には多くの人が0.05%という年利に魅力は感じていないはずです。元本割れを避けたい気持ちは強いものの、やはりリターンが雀(すずめ)の涙ほどでは満足できないということでしょう。現状における日本国債については「元本保証なので資産の保全には適しているが、リターンが小さすぎて資産を増やすには向かない商品」という解釈が成り立ちそうです

それでは、海外の国債はどうでしょうか。証券会社などが扱っている既発債を利用すれば、一般個人でも海外の国債を買うことができます。例えば野村証券が販売している米国債では今年3月5日現在、残存期間(償還までの残り期間)が4年11カ月のもので利回りは2.28%(年利換算)です。これをほぼ5年満期と考えて、日本の個人向け国債の固定5年物と比べると、利回り水準は45倍以上も大きいことになります

問題は、この米国債がドル建てであるために為替変動の影響を受けるということ。外貨建てで運用する際の為替変動による損益分岐点を求める計算式は「現在の為替レート(円)÷{(1+利回り)年数の累乗}」なので、これに前述の数字をあてはめてみます。米国債の購入時に為替が1ドル=110円だったとすると、5年後の損益分岐点は「110円÷{(1+0.0228)の5乗}=98.3円」です。この米国債に投資した場合、5年後に1ドル=98円程度まで円高が進むと金利収入の蓄積分がなくなり、元本割れの恐れも出てきます(*損益については手数料および税金を考慮せず)。

反対に為替が円安に進めば、金利収入に為替差益も加わるため、リターンが思いがけず膨らむケースもあります。すなわち米国債は、本来的には元本保証ともいえる堅実な商品であるにもかかわらず、日本から見れば為替動向によってその商品性が大きく変化する可能性があるわけです

為替変動による損益分岐点を求める計算式など知らなくても、いっこうに構いません。しかし、国内外の国債や社債、債券投信などの商品性については、それらが本当に自分の投資対象としてふさわしいかどうかを判断するためにも、いちど徹底的に検証してみるべきではないでしょうか。

次回は少し角度を変えながら、投資・運用における解釈のポイントについて、さらに突っ込んで考えてみます。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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