1. いま聞きたいQ&A
Q

株価指数の内容や活用法について教えてください。

相場状況を教えてくれる便利なモノサシ

私たちはインデックス型ファンドやETF(上場投資信託)を通じて、事実上、世界中の主要な株価指数そのものに投資することが可能です。その意味では、株価指数は私たち個人投資家が国際分散ポートフォリオを構築する際の有力なツールとして機能する、と言うことができるでしょう。

さらに、私たちは株価指数を相場状況の把握・理解に役立てたり、有用な投資情報を得るための、いわば便利なモノサシとして活用することもできます。例えば世界各国の株価指数について、2008年末の終値と2009年11月20日の終値を比較すると、その騰落率は以下のようになっています。

  • ●TOPIX(東証株価指数):-2.4%
  • ●日経平均株価:+7.2%
  • ●米国ダウ工業株30種平均:+17.6%
  • ●英国FTSE100:+18.4%
  • ●香港ハンセン指数:+56.1%
  • ●インド・センセックス30:+76.4%

こうして見れば、金融危機後の世界的な株価回復を牽引しているのが新興国であること、そして日本株だけが大きく出遅れていることが一目瞭然です。

一方で不思議に思えることもあります。どうして同じ日本の株価指数でありながら、TOPIXと日経平均株価の騰落率に結構な差が生じているのでしょうか。実は、両者はいずれも東証1部上場銘柄で構成されていますが、採用銘柄数や算出方法といった内容の違いによって、値動きにはそれぞれ独自の傾向が見られるのです。

TOPIXは、東証1部に上場している全銘柄を対象に、その時価総額(株価×発行済み株式数)の合計値を指数化したものです。具体的には、基準日である1968年1月4日の時価総額合計を100とした場合に、現在の時価総額合計がどの程度であるかをポイントによって表します。

日経平均株価は、東証1部上場銘柄の中でも流動性が高く(取引量が多く)、日本経済の実態をより反映していると考えられる225銘柄で構成されています。定期的に採用銘柄の見直しと入れ替えが行われるうえ、株式分割にともなう株価変更もあるため、指数の連続性を保つ観点からさまざまな調整が施されますが、基本的には225銘柄の株価を単純に合計して、その平均値を算出する方式です。

こうした特徴から一般に、TOPIXは銀行株など時価総額が相対的に大きい銘柄の影響を受けやすく、日経平均株価はハイテク株など「値がさ株」(株価が相対的に高い銘柄)の影響を受けやすいと言われています。

上記のような騰落率の差が生じた理由としては、国際的な自己資本比率規制の導入をにらんで、日本の大手銀行が大規模な増資を進めていることが挙げられます。増資によって株式の需給関係が悪化する(市場に出回る株式数が増えて1株あたりの価値が減少する)という懸念から、ここにきて銀行株が大きく売られたことが、TOPIXに強い影響を及ぼしたわけです。

アクティブ型ファンドの性質も浮き彫りに

日経平均株価をTOPIXで割った数値である「NT倍率」も参考になります。NT倍率は2008年10月下旬に、それまでの10倍代台前半から9倍台半ばにまで急低下しました。これは金融危機を発端とする世界的な景気悪化や円高の影響で、電気機器や精密機器などの、いわゆる値がさハイテク株が急落し、NT倍率の分子にあたる日経平均株価が小さくなったことが原因です。

その後、円高の一服にともなってNT倍率は10倍台を回復し、2008年末には10.3倍となっていましたが、2009年11月20日の時点では11.3倍まで上昇しています。これは前述したように、時価総額の大きい銀行株の下落によって、NT倍率の分母にあたるTOPIXの数値が小さくなったことが原因です。

TOPIXには「ベンチマーク」として、間接的にアクティブ型ファンドの性質を浮き彫りにする機能もあります。ベンチマークとは、アクティブ型ファンドが投資成果の目安として設定する指標のことで、日本株ファンドはTOPIXをベンチマークとするのが一般的です。例えばいま、運用実績がTOPIXと非常に似通った「ファンドA」と、運用実績がTOPIXから大きく乖離した「ファンドB」があったとしましょう。あなたなら、どちらを選びますか?

私たちがTOPIXに連動するタイプのインデックス型ファンドやETFではなく、あえてアクティブ型の日本株ファンドに投資する意義は、「TOPIXプラスα」の投資成果を期待できる点にあります。つまりファンドBのように、運用に際してTOPIXをできる限り上回ろうと、意図的にリスクを取ってくれなければ意味はないわけです。もちろん、リスクを取ると言っても程度の問題はあるし、そもそも運用が下手でTOPIXを大きく下回ってばかりではお話になりませんが、TOPIXとの乖離率にアクティブ型日本株ファンドの「志」が表れることは間違いないでしょう。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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