1. いま聞きたいQ&A
Q

浮動株指数って何ですか?

株式市場で東証株価指数(TOPIX)の「浮動株指数化」が関心を集めています。浮動株指数とは、親会社が保有している株や金融機関との持ち合い株式など実質的に売買できない株式(固定株)を除き、市場に流通している株(浮動株)だけを対象として算出する指数です。

TOPIXは時価総額加重平均方式と呼ばれる指数で、1968年1月4日に東証第1部市場に上場していた銘柄の時価総額を100として、その後の時価総額の推移がひと目でわかるように指数化したものです。ここで問題になるのは時価総額の算出方法です。通常、時価総額は会社が発行した株式にそのときの株価をかけて算出します。しかし、親会社が保有している株や銀行などと持ち合っている固定株は実質的に市場で売買できないので、一般の投資家にとっては「ないに等しい存在」です。そこで、固定株を除いて株式市場で売買できる浮動株だけを対象にして時価総額を算出した方が現実に即しているというわけです。

NTTドコモで具体的な例を見てみましょう。NTTドコモはご承知のとおりNTTの移動通信部門を分離したNTTの子会社です。発行済み株式は2003年3月期末時点で5018万株ですが、このうち63%の3159万株を親会社であるNTTが保有しています。2月20日時点の株価(237万円)を基に算出した時価総額は約11兆9000億円です。しかし、NTTの保有株を除いた浮動株ベースで算出し直すと、時価総額は4兆4000億円に減ってしまいます。

株価指数を浮動株ベースで算出するのは国際的な流れで、1990年代後半以降、世界の主要市場の株価指数を不動株化する流れが続いています。TOPIXの不動株指数化についても市場の実態に合わせるという意味では国際的な流れに即したものと言えるでしょう。

ここで問題になるのは、国内の多くの機関投資家が、株価指数と連動するような投資収益の確保を目指すパッシブ運用の基準となる指標(ベンチマーク)として、TOPIXを利用していることです。

浮動株指数になると現在のTOPIXから浮動株指数となった新TOPIXに切り替わると、固定株が多い会社については指数に組み入れるべき株式数が大幅に減ってしまいます。NTTドコモを例にとると、現在は発行済み株式総数の5018万株がTOPIXを算出する際の対象となっているのが、浮動株化したTOPIXでは対象株数がNTTの保有分を除いた1859万株に減ります。これに伴い、TOPIXをベンチマークに利用している機関投資家は、NTTドコモの保有株数を現状より63%も減らしてしまうというわけです。

浮動株化でパッシブ運用をしている機関投資家に売られるのは、銀行との持ち合い株の多い会社やオーナー経営者の持ち株が多い会社、親会社が多くの株式を保有している会社などです。逆に持ち合い解消が進んだ会社の株式については浮動株が多いため、機関投資家が買い増す可能性が強まります。

パッシブ運用をしている機関投資家が少なければ影響は軽微でしょうが、企業年金を中心にパッシブ運用の比重はここ数年で急速に高まっており、市場では10兆円以上の資金がパッシブ型で運用されていると言われています。株式市場への影響が大きいだけに、東証はTOPIXの浮動株指数化を慎重に検討しているもようですが、今後1、2カ月のうちには基本的な指針を発表するとの見方が有力です。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

バックナンバー2004年へ戻る

目次へ戻る