1. いま聞きたいQ&A
Q

ETF(上場投資信託)について教えてください。

機動性の高さとコストの低さが特徴

前回ご紹介したアクティブ型ファンドとは対照的なタイプの投資信託として、「インデックス型ファンド」があります。このファンドは日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数(インデックス)に連動する値動きをめざして運用されるもので、いわば市場全体を買う投資信託です。ETF(上場投資信託)の正式名称は「株価指数連動型上場投資信託」で、特定の株価指数に連動する運用をめざすという点では、ETFもインデックス型ファンドと性質は同じです。

ETFとインデックス型ファンドとの最も大きな違いは、その名のとおり、ETFが東証や大証などの証券取引所に上場されていること。株式と同じく午前9時から午後3時までの取引時間内に時価で売買することができ、指し値注文や成り行き注文、空売りなども可能になっています。1日に一度しか基準価額が出ないインデックス型ファンドに比べて、機動性の高さが魅力と言えます。

運用コストが低いこともETFの特徴です。たとえば日本株に投資するタイプの場合、投資家が保有残高に対して負担する「信託報酬」の比率は、アクティブ型ファンドで年1.6%程度、インデックス型ファンドで年0.6%程度が平均的な水準ですが、ETFでは大半が年0.5%以下となっています。信託報酬は毎年ファンドに支払うものなので、保有期間が長期になるほど投資家にとっての利点は大きくなります。

日本の投資家は、国内市場に上場されているETFのほか、海外市場に上場されているETFにも、日本の証券会社を通じて投資することができます。海外ETFの特徴は、投資(連動)対象の種類が豊富なこと。米国やインドなど特定の国の株価指数はもちろん、「先進国の株式全体」や「新興国の株式全体」を網羅した株価指数、世界の「インフラ関連」や「水関連」など特定のテーマに沿った株価指数、さらには商品指数にいたるまで、多種多様なものが揃っています。

国内ETFの使い勝手が向上へ

国内ETFはこれまで、海外ETFに比べて大きく出遅れていると言われてきましたが、今年(2008年)に入って徐々に品揃えが充実しつつあります。

日本株関連では、「電気機器」「小売」など業種別の株価指数に連動するETFや、「大型株」「小型株」といった規模別の株価指数に連動するETFが新たに上場されました。中国株関連では、2007年10月に大証に上場した「上海株式指数」に連動するETFに続いて、今年4月には「中国A株市場」の主要300銘柄の値動きに連動するETFが東証に上場しました。

金融庁の政省令改正により、今年の7月からは国内・海外のあらゆる株価指数に連動するタイプのETFが、日本の証券取引所に上場できるようになります。現在、国内外のファンド会社が新しいETFの組成および上場準備を進めており、東証でも海外ETFの導入加速を検討しています。投資対象が株価指数以外のものでは、金価格に連動するETFがすでに大証に上場されていますが、今後は債券やREIT(不動産投資信託)に連動するETFも解禁される見通しです。

海外ETFに投資する場合、米ドルやユーロなど外貨建てでの取引となるため、為替手数料がかかるほか、為替変動リスクが生じるという難点もあります。今後、国内ETFのラインナップが海外ETF並みに充実していけば、こうした負担が解消され、投資家にとっての使い勝手は飛躍的に向上することでしょう。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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