「日本経済新聞社が選んだ225銘柄」とは、日経平均株価のことですね。結論から言えば、日経平均株価は定期的に構成銘柄が入れ替わります。今回は日経平均株価の銘柄入れ替えについて説明いたします。
日経平均株価は、東証1部に上場する銘柄の中から、日本の株式市場を代表する225銘柄によって算出されています。その225銘柄は日本経済新聞社によって選定され、定期的な見直しと突発的な理由による不定期の見直しによって、1年間のうちに何回か銘柄が入れ替えられています。
まず定期的な見直しについては、原則として毎年1回、10月1日に実施されます。10月1日が休みの場合は10月2日、その日も休みの時は10月3日に行われます。なぜ定期的に日経平均株価の構成銘柄を入れ替えるのかといえば、それは日経平均という株価指数に日本の産業構造の変化を的確に反映させるためです。
そのために定期的な構成銘柄の見直しでは、入れ替えられる銘柄数には上限がありません。最近の例では2004年10月1日に、メルシャン、不二越、日本車輌製造の3銘柄が除外され、日本ハム、電通、ソフトバンクの3銘柄が新たに採用されました。
もう一方の不定期的な銘柄の入れ替え(臨時の入れ替え)は、構成銘柄が合併や経営破たん、持株会社化によって上場廃止、または整理ポストに入った場合に行われます。これは除外された銘柄数だけ新たに採用されるもので、最近の例では2005年5月13日に、粉飾決算が発覚して上場廃止になったカネボウが採用銘柄から外され、その2日後に三井化学が新しく採用されました。
日経平均株価は、東京証券取引所が算出する「東証株価指数(TOPIX)」と並ぶわが国を代表する株価指数です。「株価は景気の鏡」と言われるほどですから、その動向は投資家のみならず、世界中の中央銀行、政府要人、ビジネスマンが注目しているといっても過言ではありません。それだけに株価指数を構成する銘柄の選定基準は厳密に定められています。
日本経済新聞社が作成する「日経平均株価構成銘柄選定基準」によれば、日経平均株価の銘柄を入れ替えるにあたって、(1)市場での流動性が高いこと、(2)セクター間のバランスを考慮すること、(3)臨時の入れ替えでは企業の実態を考慮すること、以上の3つの基準が重視されています。
実際には、まず日本経済新聞社の定めている独自の売買代金基準を用いて、東証1部に上場する全銘柄の中から流動性の大きな順に450銘柄が選び出されます(450銘柄は、225銘柄の2倍に当たります)。現在の採用銘柄(225銘柄)の中でこの450銘柄にもれた銘柄は、10月の定期的な入れ替えで自動的に除外されます(これを「絶対除外基準」と呼んでいます)。450銘柄のうちの上位75銘柄は必ず日経平均株価に採用され(これを「絶対採用基準」を呼びます)、残りの150銘柄はセクター間のバランスを考えながら選び出されます。
セクター間のバランスによる銘柄の選出は、「相対採用基準」、あるいは「相対除外基準」と呼ばれるものです。まず先ほどの「流動性の高い450銘柄」を次の6つのセクターに振り分けます。
- 1. 技術(医薬品、電気機器、自動車、精密機器、通信)
- 2. 金融(銀行、その他金融、証券、保険)
- 3. 消費(水産、食品、小売業、サービス)
- 4. 素材(鉱業、繊維、紙パルプ、化学、石油、ゴム、窯業、鉄鋼、非鉄金属、商社)
- 5. 資本財・その他(建設、機械、造船、輸送用機器、その他製造、不動産)
- 6. 運輸・公共(鉄道・バス、陸運、海運、空運、倉庫、電力、ガス)
450銘柄を6つのセクターに割り振ったら、セクターごとに銘柄の数を数えます。その数が各セクターごとの「妥当な採用銘柄数」とみなされ、絶対採用基準の75銘柄と絶対除外基準で除かれる銘柄を考慮しながら、残りの150銘柄が選び出されます。その際にも同一セクター内では流動性の高い銘柄が優先されます。
以上が10月の定期的な銘柄入れ替えで採られる採用基準です。不定期な(臨時的な)銘柄の入れ替えでは、原則として合併や経営破たん、上場廃止などで除外される銘柄と同じセクター内にある銘柄で、市場での流動性が高くまだ採用されていない銘柄が補充されます。
ただし上場廃止になる理由が持株会社化や事業統合などの場合は、原則としてその企業の実態が受け継がれる会社が採用されることになっています。具体例としては、2002年11月26日に三井住友銀行が採用銘柄から除外され、12月3日に三井住友フィナンシャルグループとして新たに採用されました。2003年3月6日のみずほホールディングス(除外)、3月13日のみずほフィナンシャルグループ(採用)も同じ例です。
日経平均プロフィル(日本経済新聞社)