インフレ(物価上昇)をターゲット(目標)する政策、すなわち、物価上昇率があらかじめ定めた目標水準になるように政策を実施することを指します。
インフレ目標を設定し、政策を実施するのは中央銀行、日本で言えば日本銀行です。
この背景には、モノやサービスの値段は、世の中に流通しているおカネの量と関係が深いとの考え方があります。おカネの量を上手にコントロールすれば、目標とする物価上昇率を達成できるというわけです。世の中に流通する通貨の量をコントロールできるのは、通貨を発行する権利を持つ日本銀行だけなので、インフレターゲット政策は日銀が主体となるわけです。 歴史的にインフレターゲット政策は、高すぎるインフレ率を低下させるために実施されてきました。中央銀行が世の中に流通しているおカネを吸収し、減らすことでインフレを抑制してきました。
しかし、今、日本で議論されているインフレターゲット政策は、長引く物価低下(デフレ)を解消するのが目的で、一筋縄では行かないようです。これまでも、日本銀行は世の中のおカネを増やすために、さまざまな手立て、例えば、日銀当座預金の残高を増加させるという工夫をしてきました(Q&A「日銀の量的緩和政策」参照)。しかし、世の中に流通するおカネの量はなかなか増えてくれていません。
そこで、伝統的な日銀の金融政策ではなく、株式(株価指数連動型上場投資信託=ETFなど)、土地などを日銀が買い上げるといった思い切った政策を採るべきとの意見が、経済学者から出ています。
そうした政策パッケージを実施することが、最近ではインフレターゲット政策と呼ばれることが多いようです。
一方、おカネの流通量が増えないことやデフレが解消しないのは、経済の構造にこそ問題があるためで、インフレターゲット政策を実施しても効果はないと主張する専門家、学者もいます。
両者の論戦はいまだ決着がついていないようです。