1. いま聞きたいQ&A
Q

信用取引の逆日歩の計算方法を教えてください

皆さまからいただくご質問に、信用取引に関するものが増えています。個人投資家の間で信用取引を利用する人が増えていることと関係しているのでしょう。

ネット専業証券会社の口座数は今年3月末で180万件近くにまでなったそうですが、今や個人投資家の7~8割はネット証券を経由して株式を売買しており、さらにそのうちの7~8割は信用取引を利用しているとも言われています。ということは、個人投資家の半数以上(5~6割)の人が「ネット証券で信用取引」を行っているというわけです。

今回は信用取引の逆日歩に関するご質問です。本当はもう少し長い文章で、正確を期するために全文をここに掲載しておきます。

「毎日いろいろな値段で逆日歩が続いている銘柄があったとして、それを本日の逆日歩1円で1000株信用売りし、10日後に決済した場合、トータルの逆日歩料は(1円×1000株×10日=1万円)という計算でいいのでしょうか? つまり日々変わる逆日歩でも信用売りが約定した日の逆日歩でトータル逆日歩料を計算するという方法でよろしいでしょうか?」

答えは「違います」。ある日の逆日歩が1円なら、それが適用されるのはその日だけです。翌日に逆日歩2円がついたらその日の逆日歩は2円になります。

上記のご質問で、決済するまでの10日間の逆日歩が仮に10日間、1株につき毎日1円ずつついたなら、トータルの逆日歩はご質問の文中にあるように(1円×1000株×10日=1万円)で正解です。これが10日間のうちの5日間が1円、残り5日間が2円だったら、トータルの逆日歩は(1円×1000株×5日=5000円)と(2円×1000株×5日=1万円)の合計で1万5000円になります。計算期間の逆日歩が累積されます。

逆日歩は、信用取引で売り建て(カラ売り)している人が支払い、買い建てしている人が受け取ります。通常の信用取引では、買い建てしている人が金利を支払い、それを売り建てしている人が受け取ります。これと反対の方向で資金の支払い・受け取りの流れが発生するため「逆日歩」と呼ばれます。

逆日歩は、より正確に表現すれば「品貸料(しながしりょう)」のことを指します。
信用取引の対象となる銘柄のうち、制度信用取引が使える銘柄では、日証金や大証金などの証券金融会社を通じて貸株残(信用売り)と融資残(信用買い)の株数が融通されます。

通常は融資残が貸株残よりも株数ベースで多いものですが、信用売りが増加して貸株残が融資残を上回った場合、株不足の状態が発生します。貸し出しに回す株券が足りない状態です。株不足になると、証券金融会社は別の場所から貸し株に回す株券を調達してきて、信用売りの需要を満たさなければなりません。

その場合、証券金融会社は大株主に入っている生命保険や損害保険などの機関投資家から株券を借りてきます。株券を貸し出す側は有料で株券を貸し出すわけで、この時の貸し賃が品貸料、つまり逆日歩です。

株不足の状態になっても、それだけですぐに逆日歩がつくわけではありません。
証券会社が株券を融通できる大型株の場合、株不足でも品貸料がかからないケースがあるからです。反対に発行株数の少ない小型株はそれだけ逆日歩がつきやすくなります。

なお逆日歩は約定日の翌日、午前10時過ぎに決定されます。計算日数は、新たに信用売り建てをした日の受渡日から決済した時の受渡日の前日までです。買い方の支払う金利(日歩)が、新規の信用買い建ての受渡日から決済した時の受渡日までで計算されるのと比べて、1日だけ日数が違っています。

また火曜日の約定分で逆日歩がつくと、3日分の支払いを求められます。これは約定日が火曜日の場合、受渡日は金曜日になり、仮に1日だけ建て玉を持って水曜日に決済したとしても、この分の受渡日は月曜日になるため、金曜日、土曜日、日曜日の3日間が逆日歩の計算日数になるためです。月曜日が振替休日で週末が3連休になると、水曜日決済分の受渡日は火曜日になるため、逆日歩は4日分かかります。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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