15 東証再編~市場区分の見直しでどう変わった?
そもそもなんで区分されてるの?
投資家にとって一目で分かりやすいからなんだ。「経営や財務が安定した会社に投資したい」とか「高い成長性を持った会社に投資したい」とかニーズも色々あるよね。だから、上場している市場がどこなのかによって、投資家はその会社の特徴が分かるようになっているんだ。区分が明確になれば投資判断をしやすくなって、証券市場がより活性化する、ということが期待されているんだ。
なんで区分が見直されたの?いままでのままじゃダメなの?
今までの区分は、日本の経済成長や株式市場の拡大に伴い少しずつ増やしてきた結果、基準が分かりづらくなってしまったんだ。そこで2022年4月4日からより分かりやすく3つに区分するよう変わったんだ。
見直されることになった主な理由
- ○ 東証二部、マザーズ、JASDAQ(中小型・成長株)の位置づけが重複していた。
- ○ 新たに上場する基準よりも上場廃止になる際の基準がかなり緩く、いったん上場してしまえば上場廃止にはなかなかならないという状態だった。
- ○ 東証一部の基準が分かりづらかった。例えば東証一部に他の市場から移る場合、直接東証一部に上場するよりも基準が甘く、東証一部は玉石混交の状態だった。
どういう基準で区分されることなったの?
主には、流動性(株主がどのくらいいるか、時価総額がいくらか、など)、ガバナンス(一部の個人や会社に株式がかたよっていないかなど)、経営成績(儲かっているのかなど)の3つを基準として区分されることになったんだ。これらを「形式要件」と呼んでいる。また、それだけでなく「実質審査基準」といって、社会のルールから外れたことをしていないか、内部管理体制がしっかりしているか、きちんと情報開示しているか、など数値以外の点でも評価されるようになった。 なお、いままでのように、「いったん上場すればよい」のではなく、「常に一定の基準(上場維持基準)を満たす」ことが求められることになったんだ。
市場区分 | 各市場に上場している企業の特徴 | 主な形式要件 |
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プライム市場 | 【特徴】 流動性(市場取引の規模、時価総額の大きさ等) ガバナンス(企業の統制がとれているか等) 経営成績(儲かっているか、資産に対して借入が多すぎないか等) などの点で高い基準を満たしている。また、多くのプロ投資家の投資対象として、 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す。 |
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スタンダード市場 | 【特徴】 流動性、ガバナンス、経営成績の点でプライム市場の基準には満たないものの、 公開された市場における投資対象として十分な規模や社内体制が整備されている。 |
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グロース市場 | 【特徴】 高い成長が期待されるが、投資対象としてプライム市場・スタンダード市場と比べて 相対的にリスクが高い。そのため、市場の伸びや成長期待の根拠、事業上のリスクを開示する必要がある。 最低限の流動性やガバナンス基準は満たしている。 |
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他にはどんなことが求められているの?
上場企業にこれまで以上に社会的責任を果たすよう求める基準(「コーポレート・ガバナンスコード」)が定められている。例えば、プライム市場に上場している企業には上記の基準に加えて、「地球温暖化に対する考え方や取り組みを開示すること」「独立社外取締役の割合を3分の1以上にすること」「情報は英語でも開示すること」などが求められている。これらは英国や米国などのルールを参考に定められており、海外の投資家が日本の上場企業により投資しやすく、証券市場がより活性化することに繋がっているんだ。