13 CSRとは?企業の社会的責任~目指すのは「利益」だけじゃない!
企業経営のあり方が変わってきた
利益の追求ばかりでなく、その活動が社会へ与える影響に責任を持とうとする企業が増えてきている。
企業の第一の目的は「利益の追求」だと言われてきた。
企業は世の中の役に立つような製品・サービスを生み出して、その対価としてお金を受け取り、それを新たな事業展開のために使ったり、従業員の給料として支払ったり、株主に配当という形で分配したりしている。「利益を追求する」というのは、このような事業活動をたゆまなく続けていくために必要なことだ。
しかし実際には、目先の利益を追い求めることが、結果的に企業の長期的な成長をさまたげてしまうケースも少なくない。目先の利益だけに目を奪われていると、環境対策がおろそかになったり、従業員が安全に気持ちよく働けるようにする努力を怠ってしまうかもしれないからだ。そういう企業はやがて消費者や従業員たちの信頼を失い、事業の活気もなくなってしまうだろう。
一方、株主側も、株価ばかりに目を向けがちで、「企業の経営にしっかり目を向けよう」という人々は多くなかった。
そこで近年重視されているのが「CSR(企業の社会的責任)」だ。
CSR(企業の社会的責任)と株式投資
CSRは、ステークホルダーとよりよい関係を築き、事業活動を継続・発展していくために重要なんだ。
「CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)」とは、企業は利益を追求するだけでなく、環境問題や人権問題への対応をはじめさまざまな社会的な責任を果たすべきとする考え方やその取り組みを指す。
企業は、そこで働く人々(従業員)と株主だけでなく、ものを買ってくれる人々(消費者や取引先)、その企業の周辺に住んでいる人々(地域住民)など、世の中のさまざまな人々と深く関わり合いながら活動している。こういう人々を「利害関係者=ステークホルダー」っていう。
CSRは、こうしたステークホルダーと企業との信頼関係を築くためものだといえる。最近では、社会の一員として社会貢献活動や環境問題に取り組むなど、長期的な視野に立った経営に取り組んでいる企業も増えている。目先の利益を優先するのではなく、企業を取り巻く人々との良い関係を築いていくことで、長く将来にわたって着実に成長していくことができると考えられるんだ。
このように企業の経営のあり方にも変化が起こっている。
そして、これを受けて投資家の間でも、「CSRに熱心に取り組んでいるか」を、重要な判断基準と考えて投資すると考えて投資する人々も増えている。SRI(Socially Responsible Investment=社会的責任投資)という投資方法も普及しつつあるんだよ。