短期、長期の金利はモノの値段である物価の動向と深い関係があります。モノの値段がほとんど上昇しない、もしくは下がっている状態を考えてみましょう。こういう状況では、現在の1万円の価値は将来も同じか、もしくは上がっているとさえ予想できます。人々は手元のおカネをモノに変えずに、おカネのまま残そうとするので預金など金融商品の人気が高まり、結果として金利は低く抑えられます。
「デフレ」と呼ばれる最近の日本で、金利が歴史的に見ても低い水準にあるのはこのためです。一方、モノの値段が上昇し始め、もしくは人々が今後上昇すると考えたら上記と逆の現象が起こります。つまり、金利が上昇するのです。
石油の値段が上がると、石油を原料にしている化学製品の値段や石油を発電に使っている電力の料金、ガソリンの値段などが上がります。トラックや航空機など輸送産業の価格も燃料費の上昇によって上がります。そして、他の産業へも波及していきます。このように、石油価格の上昇はモノやサービス全般の値段を押し上げることになるのです。つまり、石油価格の上昇→物価の上昇→金利上昇というメカニズムが働いているわけです。
ただし、最近は景気が本格的に回復しておらず、販売競争も激しいことから、石油価格が上昇してもガソリンの値段はそれほど上がっていません。他のモノの値段も同様です。ですから、石油価格上昇による金利上昇にも限界があり、最近(2000年12月初旬の時点)では逆に長期金利は下げ始めています。