今週は3月決算企業が決算発表のピークを迎えます。すでに終わった期(今ならば2004年3月期)に関しては、3カ月に一度発表される四半期決算の内容で、年度の経過状況を追うことが可能です。だいたいの進捗状況は9カ月目あたりの四半期決算でつかむことができます。ですから今回の決算発表では、これからの決算期、すなわち2005年3月期に対する会社側の見通しがどのようなものになっているか、株式市場では誰もが気にしています。
決算書は数字ばかりが並んでいて、どこを見たらいいか、慣れておかないとチンプンカンプンのまま株式投資に臨むことになってしまいます。専門的に掘り下げればポイントはいくらでもありますので、ここでは最低限これだけは見るようにしようという点を述べてみます。
何を置いてもまずは売上高の伸びです。企業の成長の源泉は、売上高の伸びによってのみもたらされます。売上の伸びていない会社はそれだけで減点ポイントです。伸び率の高さもたいせつですが、過去何期間にもわたって伸びていることが重要です。
本業部分を示す営業利益の伸びがなにより肝心です。次が経常利益。営業利益に金融収支を加減して経常利益が算出されます。当期利益(税引利益、純利益)の伸びは一株利益に直接関わってきますのでこれも大切ですが、特別的な利益(または損失)がどれだけ、どのような理由で発生しているのかを確認することが大切です。
各利益を売上高で割ってその割合を計算します。たとえば売上高1000、経常利益200の会社は、売上高経常利益率が20%になります。この割合が高いほど収益力が高いことになります。利益は営業利益でも経常利益でも構いません。同じ業界内のよく似た会社、たとえば松下とシャープ、三井不動産と三菱地所などを比べて、それぞれの収益力の水準を測ることがたいせつです。
ここからは貸借対照表の内容です。純資産とは、別の言い方をすれば株主資本、自己資本のことです。株主の持ち分が株主資本であり、この金額が年々増えていることが大切です。純資産を発行済株式総数で割れば一株当たり純資産が求められ、株式投資指標のひとつであるPBR(株価純資産倍率)の基礎になります。
貸借対照表の中身では、特に負債が増えているか、減っているかが重要です。企業経営にとって借入金を持つことは不可欠ですが、その額が多すぎると金利の支払い額が大きくなり、利益を圧迫します。借入金を減らしながら利益成長している姿がベストです。また(4)の純資産の額を、総資産の額で割り算すれば株主資本比率が求められます。この数値が高いほど財務上の安定度が高いことになります。
決算短信にはセグメント情報が載っています。企業の売上高、営業利益を事業区分ごとに分類して示しているものです。その企業がどの分野で売上と利益を稼ぎ出しているのかがわかります。最近ではリストラを行いながら、3~4年かけて事業内容を変革させようとしている企業も多く、以前と比べて収益構造ががらりと変わっている例も多く見られます。時代の変化に自らをマッチさせようとしている企業には注意を払うべきです。