急激な為替レートの変動は、経済活動に悪影響を与える可能性があります。
そうした変動を小さくすることを狙って、急激な円高の場合は「円売り外貨(例えば、米ドル)買い」、急激な円安の場合は「円買い外貨売り」を行うのが、政府の為替介入です。
政府の為替介入は、財務大臣の指示のもと、日本銀行が実行しています。
為替介入のための資金は、財務大臣が管理する政府の「外国為替資金特別会計(外為会計)」が使われています。
例えば、「ドル売り・円買い介入」は、外為会計の保有するドルを取り崩して売却します。
一方、「ドル買い・円売り介入」の場合は、政府短期証券(通称FB)を発行して調達した円資金を使ってドルを買い入れます。
どれぐらいの資金が為替介入に使われているのかは、財務省ホームページの「外国為替平衡操作の実施状況」という形で発表されています。
例えば、2003年8月28日から9月26日までの1カ月間で、4兆4573億円が為替介入に使われています。今年に入ってからの累計では初の10兆円越えとなりました。
では、為替介入に効果はあるのでしょうか。
専門家の見方は、「行き過ぎた為替の動きを一時的に止めることはできても、方向を変えるまでには至らない」というのが一般的です。
例えば、現在、日本と米国の成長率格差は小さく、短期金利差も縮小している一方で、日本は大幅な経常黒字、米国は経常赤字という状況で、円高になっても不思議がない状況になっているため、初の10兆円越えという大規模な為替介入をもってしても円高水準が続いています。
逆に、為替介入で米国の財務省証券、つまり米国債を購入することが多く、為替介入の積み重ねで日本が世界で最も多額の米国債を保有する結果となったことを問題視する専門家は少なくありません。米国は財政赤字、経常赤字という二つの赤字を抱えているため、海外の投資家に国債を買ってもらわないと行けないほど苦しい台所状況なので、米国債には潜在的に価格下落のリスクがあるという見方は少なくありません。そうした中、最大の保有国である日本は、米国債を売るに売れない状況に陥っているのではないかとの疑念も高まっています。