REIT(リート)という名前を聞いたことがありますか?Real Estate Investment Trustの略で、日本語では「上場不動産投資信託」と呼ばれています。投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などの不動産に投資し、そこから得られる賃貸収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。発祥の地である米国では170本以上のリートが上場、時価総額も24兆円程度に達しており、有力な投資対象として投資家の間で認知されています。
日本で解禁になったのは2000年11月で、翌2001年9月に初の不動産投信が東京証券取引所に上場しました。2月13日には11本目の不動産投信が上場する予定で、上場ファンド全体の時価総額は近く1兆円を超える見通しといいますから、日本でも不動産投信は着実に金融商品として定着しつつあると言えるでしょう。ちなみに東証上場の不動産投信は「日本版REIT(J-REIT)」という愛称で呼ばれています。
不動産投信の具体的な仕組みはこうです。まず、不動産会社や金融機関などが「不動産投資法人」という一種の株式会社を設立して投資家から資金を集め、その見返りに「投資証券」という有価証券(株式の一種です)を発行します。不動産投資法人はこの投資証券を取引所に上場させ、普通の株式のように自由に売買できるようにするのです。
では、投資家の立場から見ると不動産投信は何が魅力なのでしょうか。まず第一に挙げることができるのが、リスク分散のメリットです。オフィスビルなどの不動産に投資してその収益を投資家に分配する商品であることはすでに述べました。つまり、不動産投信を運用するプロを通じて、個々の投資家は不動産に投資していることになります。不動産に直接投資するのは投資金額が大きくなるうえリスクが大きいとちゅうちょする人でも、不動産投信なら、小口の資金で間接的に不動産投資をしていることになるのです。
最大の魅力は配当利回りの高さです。東証上場の不動産投信を見ると配当利回りはおおむね4%台で、預貯金はもとより普通の株式よりも高い水準です。不動産投信が高配当をしているのは、不動産投資法人は課税所得の90%超を分配すると、その分配した金額は法人税が免除されることになっているのも一因です。高利回りに着目して、最近では運用難の地方銀行などが積極的に不動産投信を購入しているほどです。
ただ、高配当だからといって手放しで不動産投信がいい、というわけではありません。金利が上昇すると不動産投資法人が不動産を取得するために借り入れる資金のコストが高くなるという心配がありますし、高額配当を続けていると、保有している不動産で大規模補修が必要になったときなど、お金が必要なときに対応できなくなるという恐れもあります。さらに、普通の株式などに比べて流動性が低いため、いざというときに換金しにくいという事態も考えられないことではありません。これまで述べてきたメリット、デメリットをきちんと把握したうえで、不動産投信を買うかどうかを判断してほしいと思います。