1. いま聞きたいQ&A
Q

株式の非公開化って何ですか?

昨年より、上場企業が株式を非公開化する動きが目立っています。

  • ・焼き肉チェーン「牛角」などを展開するレックス・ホールディングスが経営陣による買収で株式非公開化を発表
  • ・キューサイは経営陣による企業買収(MBO)で創業者一族の株式散逸を防ぎ、非公開化で経営の迅速化を目指すことを発表
  • ・東芝セラミックスは、投資ファンド2社と組み、経営陣による企業買収(MBO)をすると発表。4割を出資する東芝などから株式を買い取って完全子会社化し上場廃止し、中長期的な観点から経営する体制を構築する
  • ・ジャスダック上場でスイッチ製造大手の神明電機は、経営陣による企業買収(MBO)により、株式を非公開にすると発表。電子部品市場ではコスト競争が激化しており、非公開化で意思決定を迅速にする
  • ・ジャスダック上場のユニホーム製造大手、ヤギコーポレーションは、経営陣による企業買収(MBO)を実施。株式の非公開化により短期的な業績に左右されずに事業の再構築を進めていく

株式の非公開化とは、TOB(株式公開買い付け)などにより、上場企業またはその経営陣が株式を買い取り、証券取引所が定めた株主数の基準を下回り上場廃止となるものです。
それではなぜ、企業は非公開化の道を選ぶのでしょうか。

本来、市場に上場するとは、市場から資金調達する、という目的が第一にあります。新興企業にとっても上場はひとつの大きな目標になっています。あわせて、上場すると社会的信用力がつく、新入社員を採用しやすいなど、企業としての「格」を高めることができます。その半面、いったん上場すると、広く投資家に投資機会を与えることとなり、必然、企業は投資家を意識した経営をおし進めなければなりません。

ここにきて上場企業は、海外投資家や機関投資家から、利益配分のあり方や、企業経営について、厳しい要求をつきつけられるようになりました。さらに投資家の短期志向が進み、企業にとって長期戦略を遂行することがむずかしくなっています。

このため、事業再編や合理化を抜本的に試みる企業にとっては、上場が足かせになり、次なる改革に踏み出すことができなくなってきました。常に株価上昇を期待する投資家にとって、それがたとえ一時的であっても、改革による赤字計上は許されるものではありません。よってこれら企業は、いったん非公開になることによって、改革に伴う株価急落を避ける道を選ぶようになりました。市場の構造的変化により、成長が鈍化、合理化を求められている企業の多くが非公開化に進んでいます。 

ただ、安易に非公開化に走るだけでは企業が復活するという保証はありません。たとえ非公開企業になったとしても、企業価値向上に向けて常なる努力が求められているといえましょう。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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