A株とは、中国の通貨である「人民元建て」で取り引きする株式のことです。
上海、深センの証券取引所に上場しています。これまで中国国内に住む投資家にしか取引参加資格が認められませんでした。
現在、日本から投資が可能な中国の株式としては、同様に上海、深センの証券取引所に上場している「B株」があります。B株、中国内、海外の投資家ともに取り引きが可能ですが、A株に比べると市場規模は格段に小さいです。
例えば、2月末の時価総額は上海ではA株が39兆5000億円、B株が7300億円でA株はB株の約50倍。
深センではA株19兆5000億円、B株が5300億円とA株はB株の約40倍となっています。
このように規模の大きい市場ながら開放されていなかったため、かねてから日本企業をはじめとする外資系企業の注目を集めていました。WTO(世界貿易機関)加盟や2008年の北京五輪を控え、中国株式への関心が個人投資家レベルにまで高まってきたためです。米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)傘下の中国企業がA株を直接購入していたことが発覚、他の外資系の大きな反発を招くなどの“事件”も起きたぐらいです(日経金融新聞2002年12月24日付け8面「中華新潮流」)。
中国政府も外資の導入で中国企業を一段と活性化したいという狙いもあり、昨年12月に限定的ながらA株への外資の投資を解禁しました。
具体的には、財務内容や資産規模で適格と判断された外国機関投資家は、A株を一定の保有上限の範囲内(最低5000万ドル、最高8億ドル)で購入できるようになりました。適格外国機関投資家制度(QFII)と呼ばれています。A株のほか、国債、転換社債なども売買できるようになります。
このQFIIに、このほど日本の金融機関でははじめて、野村證券が申請を出しました。
中国証券監督管理委員会の認定を受ければ、A株投資を始められるようになります。野村は当面、自社の勘定で運用しますが、日本内外の機関投資家からの委託注文を受け付けたり、投資信託を組成することも考えているようです。
中国への株式投資の幅が広がりそうですが、A株にはプロの間から情報公開が遅い、割高などのあまりうれしくない評価もある模様です。投資の際には十分な事前準備、学習が必要なことは間違いなさそうです。