ポートフォリオとは、証券用語辞典を引くと“Portfolio 資産管理”と出ています。ひとりひとりの投資家が、現在持っている金融資産をトータルで指す言葉です。
もともとは「紙ばさみ」を表す言葉だったそうですが、証券類をファイルにはさんで保管するという行為が、いつのまにか「保有する有価証券」を意味するようになったと言われています。
具体例を挙げてみればもっと判りやすくなるでしょう。・・・Aさんは銀行の定期預金に100万円を持っていました。ゼロ金利になってほとんど利息が得られないため、自分で資産運用を始めました。100万円を自分なりに効率よく配分して、定期預金に30万円残し、40万円を株式投資、20万円を国債、10万円を金投資に振り向けました・・・。それまでのAさんの定期預金100万円は、4つの金融商品に分散されて保有されることになりました。これがAさんのポートフォリオです。
ポートフォリオの中身は、株式、債券、投資信託、金(きん)、外貨預金、外国株式など実に様々です。定期預金はリスクが少なくリターンも小さいものです。逆に株式や外貨預金は、リスクは大きいですがリターンもそれに見合うほどの大きさが期待できます。それぞれの投資家が必要とする年間の収益と、それに見合ったリスクの度合いに基づいて分散投資されることになります。
投資先を一箇所に集中させずに、できるだけ分散させた金融商品で資産運用を行うこと、つまりリスクを回避すること、これがポートフォリオを作成する最大の目的です。万が一、ひとつの金融商品で運用が不首尾に終わっても、残りの運用益でカバーできるという利点があります。
ポートフォリオを組み立てる目的は、リスクとリターンの違いを分散させることですが、もうひとつ時間的な分散にも役立ちます。つまり収益の回収期間を分けることです。利息は高いが満期までの期間が長い金融商品に拘束性預金や債券、投資信託があります。反対に利息は少ないがいつでも換金できる流動性(換金性)を有しているMMFのようなものもあります。不動産はいったん購入するとなかなか売却できません。しかし株式は売りたい時はいつでも売れます。資金の流動性、満期までの期間という観点からでもポートフォリオを組むことができます。
株式投資は、ポートフォリオの収益性を高めるには最も効果の高いものです。ただしそれには必ずリスクが伴います。株式のウェートが小さく、債券や定期預金が大きくなれば、そのポートフォリオから期待されるリターンは安定したものになるでしょう。となれば、その人のポートフォリオの運用成果は、株式のウェートをどれだけにするかがカギとなってきます。
Aさんは100万円のうち、40万円を株式投資に振り向けようと決めました。次にAさんが考えることは、この40万円をどの銘柄に投資するかということです。どの銘柄にいくらずつ、という配分を決めてゆくことになります。そこでは株式投資だけのポートフォリオを組み立てることが必要になります。