株式投資を始めるにあたって、何よりも必要なものは投資資金、つまりおカネです。旅行でも留学でも、おカネがなければ何ごとも始まりませんが、それは株式投資も同じです。今回は「いったいどれくらいのおカネがあれば株式投資ができるのか」を見てゆきましょう。
1980年代は株価が高かったため、投資金額はかなりの額になりました。そのために株式投資は一般の庶民には少しばかり縁遠いものでしたが、1990年代を通じて株価が値下がりしたため、今ではずいぶんと身近なものになりました。
証券会社に支払う手数料を考えなければ、株式を買うのに必要な金額は(株価×株数)で計算できます。226円の新日鉄は(226円×1000株=22万6000円)かかります。NTTドコモは(19万6000円×1株=19万6000円)です。5690円のキヤノンは(5690円×100株=56万9000円)です。キヤノンは今年4月までは1000株単位で売買されていましたので(5690円×1000株=569万円)も必要でしたが、この5月より100株単位で売買できるようになったために、最低必要な投資金額は10分の1に下がりました。
株式投資では銘柄ごとに最低売買単位が定められています。これを「単元株」といいます。新日鉄は1000株、NTTドコモは1株、キヤノンは100株がそれぞれの単元株です。1単元の株数はその企業が自ら自由に決めることができます。
(株価×最低単元株数)を「最低投資金額」と名づけます。2004年6月25日現在、全上場企業数は3500社強ありますが、最低投資金額が20万円以下の銘柄は1115社あります。全体の30%強になります。
しかしそれらがすべて投資対象になるかというと、そういうわけではありません。「安物買いの銭失い」という例えがあるように、株価があまりにも低い(安い)銘柄は経営に問題があったり、利益が出ていなかったり、それなりの理由があるはずです。そこで投資対象の範囲を、せめて配当を出している企業に絞ってみることにします。配当を出していればきちんと利益を稼いでいるとみなすことができるからです。
そうすると、先ほどの基準で選べば最低投資金額が10万円以下の銘柄は235社になります。10万円以上15万円未満の銘柄は247社、15万円以上20万円未満の銘柄は294社あります。合計すると776社です。最低投資金額が20万円以下で配当を出している銘柄数は、全上場企業数の20%強にのぼります。
ただ安いという理由だけで投資するのではなく、企業の内容と先々の見通しが何よりも重要になってきます。
少額の投資とあなどってはなりません。投資の醍醐味は「複利」にあります。複利、すなわち再投資のことですね。得られた利益を使ってしまわずにもう一度投資に回す方法です。この考え方を身につければ、投資元本は大きく育って帰ってきます。
仮に1回の投資で+20%の値上がり益を得るとして、得られた利益をすべて再投資に回してそれを14回連続させれば、当初元本は10倍に増えます。18回連続すれば20倍です。23回では50倍、30回では190倍、そして38回目にはなんと元本は1000倍になります。
10万円を元手に運用を始めた場合、+20%の運用益を再投資してゆけば、14回目には100万円になり、18回目には200万円、23回目には500万円、30回目には1900万円に増えます。そして38回目にはついに1000倍の1億円に乗せます。
連続して当て続けることは至難のわざです。しかしロスカット(損失の確定)をうまく行えば決して元本1000倍も夢物語ではありません。千里の道も一歩から、何ごともまず勇気を出してスタートするところから始まります。