資産全体のリスクを低減する国際分散投資
まず、下の表を見てください。これは世界各国を代表する株価指数(株式市場全体の値動きを表す指標)の、過去10年間の騰落率を比較したものです。
株価指数 | 1996年末の終値 | 2006年末の終値 | 騰落率 |
---|---|---|---|
日経平均株価 | 19,361.35 | 17,225.83 | -11.0% |
米国ダウ工業株30種平均 | 6,448.27 | 12,463.15 | +93.3% |
英国FT100 | 4,118.50 | 6,220.80 | +51.0% |
ドイツDAX指数 | 2,888.70 | 6,596.92 | +128.4% |
香港ハンセン指数 | 13,451.50 | 19,964.72 | +48.4% |
日本以外は軒並みプラスになっており、なかには2倍以上に成長した国もあります。この間、日本だけでなく外国の株式にも投資していれば、騰落率で見るかぎりは、日本のマイナスを他国のプラスによってカバーできたことになります(後述するように、外国株への投資では為替変動も考慮する必要があります)。
景気の好不調や経済成長率の違いなどを反映して、世界各国の株式市場は通常、それぞれ異なった値動きをします。設定する期間によって各国市場の騰落率は異なってくるため一概には言えませんが、基本的には複数の国の株式市場に投資することにより、ひとつの国が下がっても別の国が上がるというかたちで株式資産全体の下落リスクを低く抑えることができます。
こうした考え方は「国際分散投資」と呼ばれており、投資銘柄の分散や投資時期の分散とともに重要なリスク分散法のひとつとなっています。
外国株の投資比率と分散がポイント!
国際分散投資をおこなう際に、外国の個別株に投資する方法もありますが、投資の対象も手法も限られているうえ、日本国内で得られる情報が少ないという難点もあります。日本の個人投資家が外国株に投資する場合は、冒頭のような各国の株価指数に連動するETF(上場投資信託)や、外国株に投資する投資信託を活用するといいでしょう。いずれも日本の証券会社を通じて売買することができます。
国際分散投資のポイントになるのは、(1)株式資産全体のどの程度を外国株に投資するか(2)外国株のなかでどのような分散を図るか--という2点です。
外国株への投資では、株式の値動き以外に「為替変動」の影響も受けます。外国株の購入後に円安が進めば為替差益が得られますが、反対に円高が進めば為替差損を被ることになります。為替の変動を予測するのは非常に難しいので、最初からあまりに多くの資産を外国株に投資するのは無謀かもしれません。ベースはあくまでも日本株に置き、たとえば株式資産全体の7~8割を日本株、残りの2~3割を外国株に振り向けるという具合に、無理のない資産構成を考えたいところです。
外国株には、大きく分けて「先進国株」「新興国株」の2種類があります。最近では「BRICs」(ブラジル、ロシア、インド、中国)に代表される新興国の株式が、その成長性の高さから大きな人気を集めていますが、一方で新興国株には価格の変動幅(リスク)が大きいという特徴もあります。そのため、外国株のなかでもやはり7~8割は欧米などの先進国株に投資しておき、残りの2~3割で新興国株にも味付け程度に投資するというスタンスが望まれます。
ちなみに日本のジャスダックや東証マザーズ、大証ヘラクレス、米国ナスダックなどのいわゆる「新興株市場」は、先進国に属してはいるものの、そのリスクレベルはBRICsなどの新興国市場に近いと位置づけられますので、注意が必要です。