第24回日経STOCKリーグの実施記録や入賞レポートを掲載します。
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第24回(2023年度)実施記録
応募総数1,462レポート
(中学276、高校688、大学484、専門学校14)
二次審査を通過したチームには、入選として賞状を授与いたします。
(※入賞チームを除く)
入賞(24レポート)
見事入賞に選ばれたチームは、3月16日(土)大手町にて開催される表彰式にご招待いたします!
最優秀賞
三重県立四日市高等学校 2年
【ポートフォリオ】
レゾナック・ホールディングス、イビデン、東京応化工業、ADEKA、フジミインコーポレーテッド、ジャパンマテリアル、ディスコ、TOWA、ルネサスエレクトロニクス、ソニーグループ、アドバンテスト、三井ハイテック、東京精密、HOYA、東京エレクトロン、台湾積体電路製造
【審査委員講評】
半導体産業により地元を発展させるという目標を設定し、地元の半導体関連企業を訪問し、たくさんのヒアリングからレポートをまとめ、綺麗に整理され、分かりやすい分析結果がまとめられている。ヒアリングでは、特定な視点だけからの見方となる恐れもあり、事前に、幅広く分析をした上で、企業や公的機関を訪問することが望まれる。さらに、ヒアリングの中では、先方の担当者が得意とする分野の質問を深く行い、相手の方の専門分野の意見が聞けるように進めることも重要である。最優秀賞を受賞をしたという報告を、ぜひ、ヒアリングしていただいた企業の方々には伝えてほしい。
部門優秀賞 中学部門
筑波大学附属駒場中学校 3年
【ポートフォリオ】
ニッスイ、マルハニチロ、昭和産業、フィード・ワン、林兼産業、はごろもフーズ、東洋水産、オイシックス・ラ・大地、BASE、ゼンショーホールディングス、横浜丸魚、日本郵船、商船三井、川崎汽船、SGホールディングス、上組、アイエックス・ナレッジ、ヨンキュウ
【審査委員講評】
食品ロス、海洋環境の保全という課題に「未利用魚」というユニークな視点で斬り込んだ。課題と対応策がよく整理されており、現地や有識者、事業会社への取材内容もしっかりしている。問題意識の高さがレポートに反映されており、中学部門としては十分に高度な内容だった。スクリーニング指標も工夫されており、論理的に説明できている。ポートフォリオを通じて「未利用魚」の活用策を提示できれば、より具体的に問題解決の道を示せたかもしれない。
部門優秀賞 高校部門
青森県立青森高等学校 1・2年
シン・エネルギー革命
~ゼロからイチを生み出せ~(4,441KB)
【ポートフォリオ】
INPEX、日揮ホールディングス、東洋炭素、日本ガイシ、日本製鉄、神戸製鋼所、古河電気工業、フジクラ、コマツ、三菱化工機、荏原、東亜ディーケーケー、堀場製作所、浜松ホトニクス、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、商船三井、東京ガス、中華電信
【審査委員講評】
地元青森で開催された次世代エネルギーのワークショップを機に、水素・核融合まで学びながら独自の論理立てでエネルギー問題を読み解くリポートに仕上がっている。国立研究開発法人、担当官庁の事務局、関連企業へのヒアリングを通じた調査内容をわかりやすく整理できている。ポートフォリオを組んだ投資先企業へのヒアリングも実施できており、関連技術と実業の両面で、深く学んでいる過程は高く評価できる。
部門優秀賞 大学・専門学校部門
早稲田大学 3年
【ポートフォリオ】
日清製粉グループ本社、昭和産業、江崎グリコ、サッポロホールディングス、ローソン、味の素、キユーピー、東洋水産、日清食品ホールディングス、サンクゼール、オイシックス・ラ・大地、すかいらーくホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、トリドールホールディングス、クラダシ、ロイヤルホールディングス、イズミ、平和堂、タカヨシ、アークス
【審査委員講評】
多様な主体が解決に向けて動き出しており、10年後の改善や企業価値との好循環が見込まれるとのテーマ設定理由に説得力がある。その後の調査・分析も丁寧かつ確実に進めている。官庁・企業へのヒアリングを幅広く行っており、食ロスへの取組みだけでなく、企業価値との関連や今後の優位性といった切り口で聞いた内容をその後の分析に活かしている点が良い。レポートのデザインや文章も読みやすく、総合的に高評価となった。
敢闘賞
松本秀峰中等教育学校 3年
Meat the Future MEATing
~代替肉で世界を救う~(7,501KB)
【審査委員講評】
食料問題に関する背景について分かりやすくコンパクトに整理したうえで、「代替肉」という個別テーマにフォーカスしており、論旨が明瞭。明確な課題認識を持っていることが、企業アンケートの質問にも表れており、有意義なフィールドワークを実施したことが評価された。ポートフォリオの構築に繋げるため、選択したテーマのポテンシャルなどメリットにばかり目が行きがちであるが、本レポートではデメリットについても整理しておりフェアな議論が展開されている。学年アンケートが、レポート内の論理展開に一層活かされていれば、さらに良いものとなっただろう。
市立札幌開成中等教育学校 3年
miraiを刻むチップ
~DISCで構築する半導体産業への投資戦略~(15,104KB)
【審査委員講評】
日本の半導体産業が復活へ取り組む今、タイムリーなテーマに着目。スクリーニングは半導体だけでなく、それを支える4つの産業(インフラ、輸送、建設、金融)も対象とし、バリューチェーン全体を見渡す広い視点を評価できる。また、DISCと名付けた「日本の半導体供給の安定化策」(若い人材の育成、先端技術への積極投資、生産拠点の分散、予備部品の確保)は、会社へのインビューを踏まえて自分達で考案している。ポートフォリオにTSMCとサムスン電子を加えることにもインタビューが活きている。
渋谷教育学園渋谷高等学校 2年
Reunion with Companion
~「シェア」と「ケア」でつながり直す~(2,984KB)
【審査委員講評】
経済合理性や環境負荷の観点から取り上げられることの多いシェアリングエコノミーの、人と人との「つながり」を生むきっかけとなる側面に着目し、「無縁社会」という今日の社会課題の解決に繋がるとした発見が独創的で面白い。さらに、社会課題の解決だけでなく、足元の利益と将来性に関する視点も含む多面的な考察を通じて、持続可能な成長が見込まれるポートフォリオの構築に取り組んでいる点や、多様な企業を見つけて意欲的にフィールドワークを行っている点も高評価。
愛媛県立松山南高等学校 2年
【審査委員講評】
林業を俯瞰的かつ多面的に分析した秀作。フィールドワークは豊富なだけでなく、エコシステムを担う大企業と新興・中小事業家、行政、海外留学生など多様な視点が示される。また、地元の産業を調べる熱意と同時に、「私たちの気づき」を表と裏の両面で記述し、冷静でバランスがとれた思考も感じさせる。カーボンクレジットやスマート林業といった新しい動きも捉えている。脱炭素時代に重要性が増す林業について、現実を見た上で将来の展望を示したレポートとして評価する。
大阪公立大学 3年
新しい株式市場のリーダーズ
~ビジョンで掴む資金と成長~(3,920KB)
【審査委員講評】
「公募増資の株価反応が理論と現実で違うのはなぜ?」という素朴な疑問への着眼が面白い。スクリーニングではテキストマイニングという先進技術を用いると同時に、経営者予想精度を業種調整するなど丁寧な分析も見られた。選ばれた企業に客観性があり、「増資する企業はどうしたらよいか」というメッセージも分かりやすい。運用会社だけでなく増資企業の話を聴ければなお良かった。ファイナンス理論と現実のマーケットとの橋渡しに今後も挑戦してほしい。
同志社大学 3年
Sustainable Water Society(4,405KB)
【審査委員講評】
日本が位置するアジアの水問題の深刻さを伝えた上で、この問題を解決できる日本の水技術企業への投資の優位性を論じた労作。アジア各国の水事情に関する丁寧な調査や、アジアでの展開力等独自の定性評価基準を定めてファンド構築を行なっている点、さらに、定性下位評価ファンドとの比較分析や、社会的インパクト測定等も試みSDGsの視点も忘れていない点が評価された。サプライヤ企業をもう少し多くした方が、テーマの特徴をより表現できたかもしれない。
立教大学 2年
【審査委員講評】
本当にGood Black Companyはあるのか?どのように選出するのか?という疑問を読み手に持たせ、レポートを最後まで読ませる力を有したタイトル付けが良い。独自の仮説を立て、それに基づくスクリーニング手法も工夫している。Goodかどうかをこの指標で測れるのか、ポートフォリオ銘柄はGood Black Companyと言えるのかなど、議論を呼び起こす分だけ、挑戦的な取組みと言える。選出後に、従業員にとっての評価や非通過群との比較を示している点も良い。
アイデア賞
市立札幌開成中等教育学校 3年
必要なとき、必要なものを、必要なひとに
~医療物資不足と物流2024年問題~(11,428KB)
【審査委員講評】
超高齢化社会を迎えつつある日本が直面する社会課題の解決に資する企業への投資を試みた意欲作。医療と物流という2つをかけあわせるというアイディアや、ESGの視点も取り入れたスクリーニング、スコアが高い企業に多く配分するといった工夫をしている点が評価された。前半が優れていた分、最後のポートフォリオ紹介が平凡だったのが惜しい。企業インタビュー等を通じて得た情報や感想を、自分たちの言葉で伝える工夫があれば、なお良かった。
立教池袋高等学校 2年
白髪の青春
~アクティブシニアライフ 高齢化社会対策之書~(6,617KB)
【審査委員講評】
自分たちが50年後に理想的な老後生活を送るために、その時まで残っておいて欲しい企業を探し育てるという投資アイディアが斬新であり、アイディア賞ということになった。非上場のベンチャー企業等にもインタビューを行ない、高齢者市場の可能性について自分たちの言葉で語っている、投資企業も様々な業種にわたっており、独創性が感じられた。「理想の老後指標」や「老人は弱者でない指標」といった独自の指標の内容や有効性について、もう少し丁寧にわかりやすく論じられていると良かった。
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 2年
【審査委員講評】
地元プロジェクトに参加した経験から、横浜や鎌倉といった都市部においても空き家が増えている実情に気づき、現状を変える手段として投資を考えるという未来志向のスタンスが、高校生らしく、清々しさを感じさせる。様々なフィールドワークやインタビューを通じて、空き家の構造問題を丁寧に分析し論じている。欲を言えば、地方ではなく都市部の空き家という設定にしたのだから、ポートフォリオの作成過程で、その点を考慮した絞り込みや考察があると良かった。
立教大学 2年
OPTIMIZE SOCIAL&ECONOMIC BENEFITS(3,957KB)
【審査委員講評】
企業の目的は、利潤最大化と従来の経済学では教えられていたが、企業の社会的な責任を如何に効率的に果たし、社会生活向上への各企業の貢献度も重視されて来ている。これまでも多くの日本の企業は、社会的貢献をしていたが、その成果を外部に発信することは不十分であったように思う。この論文では、(i)Environment,(ii)Social Capital,(iii)Human Capitalの3分野に着目して、図も使いながら分析を説明しており、興味深い内容である。
ルーキー賞
神戸市立本多聞中学校 3年
【審査委員講評】
ユニークで目を引くテーマ設定。推し活の実例や世代別傾向を記述した序盤は、自分たちの意見と文献で調べたことを明確に区別するよう気をつけたらより良くなるものの、推し活に対する熱意と文章力で読ませる力がある。身近なテーマをきっかけに、株式投資に関する学びを深める過程を感じられた。推し活関連企業から直接話を聞けるせっかくの機会だったにもかかわらず、企業ヒアリングを行っていない点がもったいない。
長野県屋代高等学校 2年
【審査委員講評】
官庁、自治体、事業会社、旅館亭主へと幅広くヒアリングを行い、シェアサイクルの多様な可能性を調べている。スクリーニングも適切に行い、レポートとしてバランスよくまとめている。安全性の確保や収益性の向上、さらなる市場拡大に導く仕組みづくりなど、シェアサイクル事業の課題と考えられる点の分析も深められたら、投資家へのアピール力が増し、より良いレポートとなった。
鹿児島県立短期大学 2年
【審査委員講評】
地元鹿児島から、全国生産量2位を誇る「お茶」から、少子高齢化と労働力不足という課題の解決策、地域活性化とテクノロジーの活用策を探った。かごしま茶の生産、普及を担う関係者へのインタビューを踏まえ、課題をきっちり整理できている。スクリーニングも丁寧でポートフォリオの構成は興味深いか、どう世界に打って出るかを描き込めると、より具体的な問題提起につながったかもしれない。
審査委員特別賞
筑波大学附属駒場中学校 3年
エネルギーに海から風を
~洋上風力発電と漁業の共生~(6,972KB)
【審査委員講評】
洋上風力発電の成長可能性、漁業活動への影響、エネルギー政策の中での位置づけを漁協、事業会社、関係官庁などを緻密に取材した意欲作。スクリーニングを2次、3次、4次と重ね、配分を工夫できており、チームメンバーが熱心に学んでいる様子がうかがわれる。メリット、デメリットの分析や課題の整理もできており、ポートフォリオにはバランス良く関連有力企業が抽出されている。
洗足学園中学校 3年
【審査委員講評】
Non Fungible Token (NFT:偽造/改ざん不能なデジタルデータ)とそれを支えるブロックチェーン技術に着目し、83社を選び、定性的/定量的に企業の点数を付け、他社の株価への波及の事実を確認している。今後、この技術が、どの程度、社会を変革していくかは未知であるが、とても興味深い視点から分析を行っており、高く評価できる内容である。
横浜女学院高等学校 2年
Femtech
~性別を超え、輝く未来を切り拓け~(1,890KB)
【審査委員講評】
女性特有の健康課題改善にテクノロジーからアプローチするFemtechに注目した着眼点がユニークで面白い。学校内アンケートを通して、Femtechへの認知度等について意欲的に調べているので、並行してこの業界の企業インタビューを精力的に実施し、実社会を知る経験を積むことができれば、なお良かった。また、この分野のテクノロジーの進展状況や、課題解決に向けた貢献度や将来性についての調査分析も併せて行うことで、より説得的なポートフォリオ構築に向けた議論が可能になると思われる。
東京大学 3・4年
【審査委員講評】
PBR(株価が1株当たり純資産(簿価)の何倍であるかの尺度)を見ると、日本の株式市場では、PBRが1倍を下回っている企業の比率が、欧米と比較すると、とても高い。「攻めのユニコーン」「守りのユニコーン」の2つの企業群に分けて分析を行っている。経営者の在任期間、企業内の余剰現金の問題など、過去の文献を整理しており、力作である。ただし、分析した結果を確かめるために、企業のヒアリングを行い、分析結果と実際の企業経営の比較も加えられたら、さらに、よかったと思う。
産業能率大学 2・3年
【審査委員講評】
自分達の頭と足を使って調べ、そこで得た実感を大事にして作成したことが伝わる好レポート。ブランド・ロイヤリティを「愛着」という身近で柔らかい言葉に換えて、世代を超えてそれを維持する企業を選ぶ。十勝でのインターンシップ、企業でのアルバイト、Z世代とその親へのアンケートといった自らの体験と一次情報にも支えられ、等身大でリアリティのある主張になっている。選んだ企業にブランド価値を維持する秘訣を聴ければ、さらに学びがあったであろう。学習を現実の世界へ活かす姿勢を今後も期待している。
一橋大学 3年
物流の将来像
~「2024年問題」から大変革に向けて~(2,606KB)
【審査委員講評】
昨今話題となっている「物流2024年問題」に関する課題を丁寧に整理したうえで、原因を指摘し、解決の必要性を述べ、その解決に貢献する企業に関する分析というように、非常に明瞭な文章構成。現状進められている政府や民間企業による取組みを批判的に評価することで、本当に必要な課題解決策を論じるとともに、その際の留意点として中小企業の存在も考慮する必要性に触れるなど、分析がきめ細かく素晴らしい。残念ながら、企業等へのフィールドワークが未実施であった点が、本レポートに対する評価の足を引っ張った。
NOMURA Award(特別賞)
これまで日経STOCKリーグを通じて、金融・経済教育の普及にご尽力いただいた指導教諭・教員の方々を表彰します。
中学:
市立札幌開成中等教育学校 松澤 剛 教諭
名古屋大学教育学部附属中・高等学校 隅田 久文 教諭
高校:
秋田県立小坂高等学校 本炭 京子 教諭
久留米市立久留米商業高等学校 牛島 規夫 主幹教諭
大学:
大阪公立大学 中川 満 准教授
金沢大学 寒河江 雅彦 教授
参加数
学年 | 中学 | 高校 | 大学 | 専門 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
学校数 | 52 | 150 | 135 | 5 | 342 |
チーム数 | 460 | 991 | 647 | 20 | 2,118 |
人数 | 1,834 | 3,882 | 2,652 | 77 | 8,445 |