第23回日経STOCKリーグの実施記録や入賞レポートを掲載します。
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第23回(2022年度)実施記録
最優秀賞
同志社大学 3年
RE-BRANDING!
~日本産食品を世界の「あたりまえ」に~(2,778KB)
【ポートフォリオ】
サカタのタネ、日本農薬、クミアイ化学工業、クボタ、NTTデータ、キッコーマン、日清食品ホールディングス、カルビー、アサヒグループホールディングス、味の素、三菱食品、伊藤忠食品、ヨコレイ、ニッコンホールディングス、デリカフーズホールディングス、リンガーハット、神戸物産、SRSホールディングス、コメダホールディングス、オイシックス・ラ・大地
【審査委員講評】
日本は、従来、製造業の製品を海外に輸出することにより経済成長の基礎を築いてきた。しかし、食料不足が懸念され、輸入食品価格の高騰が大きな問題となっているが、日本の食品の世界への輸出は、上手く進められれば、一大産業となる可能性を含んでいる。高齢化が進む国内であるが、経済成長に伴い、アジアの「食」に対する嗜好も変化し、日本食への魅力は増すと予想される。そのためには、国際流通業のさらなる技術進歩が不可欠で、新鮮な食べ物をいかに早く届けられるかという分野も、投資先としては魅力があると思う。
部門優秀賞 中学部門
筑波大学附属駒場中学校 3年
【ポートフォリオ】
千葉銀行、gumi、三菱UFJ フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、サイバネットシステム、カヤック、任天堂、クシム、アステリア、ソフトバンクグループ、メタップス、エスユーエス、JIG SAW、富士通、マネックスグループ、スクウェア・エニックス・ホールディングス、ソニーグループ、コロプラ、アララ、CRI・ミドルウェア
【審査委員講評】
メタバースと金融の親和性の高さを見いだし、フォーカスを絞ったことで深い研究へ進んでいけた。単に新しいサービスの提供だけでなく、権利やセキュリティー面といった普及に必要な要素をフィールドワークで取材。技術ごとの切り分けが緻密で、ネット上での話題性の把握など独自のスクリーニングも面白いものだった。株価分析も長期トレンドやニュースへの反応を考察、最後まで学ぶプロセスが浮き上がるリポートで、総合点で高く評価できる仕上がりとなった。
部門優秀賞 高校部門
神奈川県立相模原中等教育学校 5年
未病
~No Sickness in the Future~(3,388KB)
【ポートフォリオ】
ディー・エヌ・エー、Fast Fitness Japan、大正製薬ホールディングス、オムロン、味の素、塩野義製薬、ユーグレナ、メンタルテクノロジーズ、エムスリー、マツキヨココカラ&カンパニー、任天堂、ヤクルト本社、ヨネックス、SOMPOホールディングス、東京海上ホールディングス、パラマウントベッドホールディングス、サムスン電子、シプラ、ラッフルズ・メディカル・グループ、カルベ・ファルマ
【審査委員講評】
現代人の多くが、病気ではないが健康とは言えない「未病」の状況にあることに着目し、その改善に資する企業への投資を通じて、医療費の増大という社会課題の解決に挑もうとした意欲作。健康経営や地域貢献というESGの視点、Asia300にも対象を広げている点等も高く評価された。研究者や企業トップ等へのインタビューや展示会訪問等のフィールドワークを通じて、高校生の皆さんが学びを深めていく様子が生き生きと伝わってきた。
部門優秀賞 大学・専門学校部門
東京大学 3年
Systematic Optimal Mobility(3,042KB)
【ポートフォリオ】
日本ペイント ホールディングス、ネットワン システムズ、タカラトミー、太陽 ホールディングス、資生堂、ソフトバンクグループ、京阪神 ビルディング、富士製薬工業、アスクル、ダイレクトマーケティングミクス、レーザーテック、日本瓦斯、シナネン ホールディングス、デジタル・インフォメーション・テクノロジー、東京精密、大東建託、ベルシステム24ホールディングス、ピープル、デサント
【審査委員講評】
日本企業は、高度成長期には、年功序列・終身雇用という体系で成長を続けてきた。しかし、高齢化などの影響で経済成長率が低下し、産業構造の変化が激しい環境には、雇用体系の流動化、給与も生産性に依存した体系とせざるを得ない状況となっている。「人の流動性」に着目し、在任期間の最適値を計量分析で二乗の変数として導出している。女性の管理職比率も考慮しており、タイムリーな分析である。ただし、関数形の設定の仕方では、異なる最適在任期間が導出される可能性もあり、今後、さらなる研究が望まれる。
敢闘賞
筑波大学附属駒場中学校 3年
【審査委員講評】
世界が目指すカーボンニュートラルの実現。そのために、なぜカーボンリサイクルの分野に投資するのか。技術知識が必要な難しいテーマであるものの、この分野の現状と課題をきちんと把握し、自分達の考えをしっかりとアピールできていた。ポートフォリオの評価は割れたものの、複数の審査委員から、官公庁を含む関連団体・企業への取材といったフィールドワークの量、取材に向かう姿勢、この分野を非常に良く勉強し取り組んだことが伺える内容に高い評価があがった。
女子学院高等学校 1年
【審査委員講評】
コロナ禍でDXが進む教育について、「個別最適な学び」という未来像を多面的なアプローチから提示する秀作。全体の構成、分析、論理展開に優れ、主張を理解しやすい。また、行政、教育事業に携わる有識者・企業家へのヒアリング、現場でのICT利用実態に関する校内アンケートといったフィールドワークが、視野を広げ、企業の選出にも活きている。この大きなテーマへ関心を持ち続け、率直な問題意識、軽やかな発想で、新しい形を創っていってほしい。
青森県立青森高等学校 1・2年
Let the New wind Blow
~エネルギーに新たな風を起こせ~(3,933KB)
【審査委員講評】
脱炭素社会の切り札として期待されている洋上風力発電を取り上げ、日本における洋上風力発電の可能性と課題について、大学や企業に丁寧にヒアリングを行い、高校生らしい視点で、地元青森の地方創生への貢献の可能性や日本経済全体への波及効果について力強く書かれている点が評価された。オンラインインタビューが可能になっていることから、投資対象企業に対して洋上風力の取り組みや期待についてヒアリングすると、なおよかった。
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 1年
【審査委員講評】
自作ホバークラフトのコンテスト参加をきっかけに、持続可能な航空燃料(SAF)をテーマに選んだ。SAFの普及へ必要な技術を丁寧に掘り下げ、製造メーカーのほか、利用企業、規制当局まで広くインタビュー、海外にも目を向けた。秀逸だったのが綿密なスクリーニングだ。積み重ねた取材をもとに独自の項目を立て、配点を工夫した。普及には課題が多いとの意識も調査に深みを持たせた。チーム一体となって仕上げていく風景が浮かぶ素晴らしい研究となった。
同志社大学 3年
【審査委員講評】
国際競争力が衰退していると言われて久しい現代日本。日本が抱える社会問題に対し、その解を、産業構造の川上に位置し、川下まで波及効果のある「マテリアル(素材・材料)」に見出すという着眼点がユニーク。ユニークなだけでなく、各課題に対しそれぞれ丁寧な現状分析となぜこれまで解決されなかったのかという考察、ポートフォリオ構築後の社会への影響分析まで行っており、説得力のある作品となった。フィールドワークの多さ等、意欲的に取り組んだ点も評価された。
アイデア賞
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 3年
【審査委員講評】
保存食の将来性をテーマに、校内アンケートによる利用状況の把握、企業へのヒアリング、ポートフォリオの構築というプロセスが上手に関連づけられている。一貫性があり、丁寧な取り組みが伝わってくるレポート。食品添加物が冷凍食品の利用拡大を妨げる一因とアンケートで分かると、企業にその対応を質問し、スクリーニング基準へも採り入れている。ここで培われた「自分の目で見て、頭で考える」という姿勢は、将来を拓く力になるであろう。
富士見中学校 3年
Five Senses Company
~色のある世界を取り戻せ~(2,195KB)
【審査委員講評】
「人の五感」という、投資から一見離れたテーマに着目し、独創性が高い。コロナ禍で街から音楽や色が失われたことで、人が持つ感性の大切さに気づいたという。企業を選ぶ基準には、業界に相応しい色彩がロゴマークに使われているか、食品パッケージに工夫が見られるか、CMが記憶に残りやすいか、など五感が用いられ、そこに中学生の柔らかい感性が活きている。AI(人工知能)の領域が広がる中、人の可能性を感じさせるレポートである。
立教池袋高等学校 2年
【審査委員講評】
人類が宇宙で暮らす「新時代」がすぐそこに来ていることを感じさせる、若い感性に溢れたレポート。「宇宙循環型社会」の定義が十分にされていない点が気になったが、言葉で伝えきれないところをイラストを使って伝えようとしている。非上場の有望企業3社を探して高校生らしい視点で紹介するなどの意欲も評価された。ポートフォリオの構築にあたって、スクリーニングに一工夫あるとよかった。
東京大学 3年
【審査委員講評】
企業の成功の背後には、“偶然的”な思いがけない成功という経験もある。本論文では、偶然性の可能性を高め、その連鎖を導けるような企業の組織、経営者への動機づけ、規律付け体制が整っているかどうかを分析している。同じ業種でも、従業員が生き生きと働き、内部情報が迅速に伝達される企業、逆に、“負”の偶然性に見舞われた場合の事後対応もしっかりしている企業も存在する。研究開発効率指標は、生産関数からの分析による手法とは異なっており、両者の比較も望まれる。さらにトービンのQ指標も、日本企業には、当てはまりにくい環境があった。独自の指標を用いた、さらなる研究の発展を期待したい。
ルーキー賞
調布市立神代中学校 2年
未来を担う発電
~洋上風力発電で向上する電力~(2,761KB)
【審査委員講評】
「洋上風力を新たなエネルギーに 日本のエネルギー産業を新たなステップに」という筆者たちの強い気持ちを一貫して感じられる爽やかな作品。シンプルなテーマ故か、ポートフォリオにオリジナル性を見いだせなかったのは少々残念ではあるものの、初参加ながらも、テーマ設定の過程から調査内容、ポートフォリオの作成、投資後の分析と一連の流れがとても分かりやすく、読みやすい文章でまとめられており好印象だった。文句なしのルーキー賞選出となった。
立命館守山高等学校 3年
【審査委員講評】
執筆者自身の実体験に基づく女性アスリートというテーマ設定に、独自性と説得力がある。テーマの事前分析やヒアリングを通して、部活動で日頃感じていることを言語化して整理し、理解を深める様子が伝わってきた。ポートフォリオの作成においては、女性アスリートに関連が深いという観点以外に、アスリート引退後の女性のキャリア形成や、社内外の女性活躍支援への波及といった観点も織り込んでみたら、さらに独自性が増すかと思う。
審査委員特別賞
京都大学 1年
STOCK DUNK
~インバウンドを獲れ~(4,121KB)
【審査委員講評】
バスケットボールのテーマが分析、文章構成、デザイン面で貫かれている。読み手の興味を引き、最後まで面白く読ませようと注力したことが伝わってきた。論理構成や文章も、わかりやすく仕上がっている。ただし、結果的に構成されたポートフォリオは、観光業との関連性が低くないか、選別要素のウェイト付けは適切か、との疑問もわく。「チーム」組成手法の検証をより深めれば、レポートの完成度が更に増すと考えられる。
入選
NOMURA Award(特別賞)
中学:
広尾学園中学校・高等学校 町田 貴弘 教諭
高校:
新潟県立新発田商業高等学校 蟻塚 宰子 教諭
明治学院高等学校 藤田 育宏 教諭
大学:
新潟大学 濱田 弘潤 教授
千葉大学 大鋸 崇 准教授
参加数
学年 | 中学 | 高校 | 大学 | 専門 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
学校数 | 46 | 151 | 123 | 5 | 325 |
チーム数 | 229 | 911 | 691 | 29 | 1,860 |
人数 | 925 | 3,864 | 2,685 | 111 | 7,585 |