1. いま聞きたいQ&A
Q

「今日の企業経営に求められるのは売上高の多さではなく、資産利益率の高さだ」という記事をみました。売上高、資産利益率とは何でしょうか?

売上高は会社が日々、生産している製品や提供しているサービスなどを他者に販売した見返りで受け取る収入金額を積み上げたものです。1年間を決算の区切りとしている会社で言えば、1年365日間の販売額の合計です。

一方、おたずねの資産利益率はたぶん、「株主資本利益率(英語でROEと略します)」のことをいっているのだと思います。まず、利益からお話しましょう。利益は売上高から人件費、材料費などのコストと法人税ほか各種の税金を支払った後に残る「税引き(後)利益」を指すことが多いようです。

資産とひと口にいいますが、資産には様々な種類があります。工場、店舗など動かすことができない資産を固定資産と呼びますし、現金・預金や短期に保有する株式などいつでも換金できる流動性が高い資産のことを流動資産といったりします。固定資産、流動資産などをすべて合計すると総資産となります。

株主資本は少し回りくどい説明が必要かと思います。会社は創業時や事業基盤を広げようとする時に、株式(株券)を発行し、その見返りに株主から一定の金額のおカネを払い込んでもらいます。その株主が払い込んだおカネを基に会社は様々な活動を通じて利益を生み出そうとします。時には狙いが外れて損をすることもあります。株主が払い込んだ資本や過去の利益の蓄積などを併せたものが「株主資本」(自己資本とも言います)です。

株主資本利益率(ROE)は会社が一定期間(決算期)内に挙げた税引き利益を株主資本で割った数値です。ROEが高いということはそれだけ株主資本を効率的に使っていることを示します。1株当たりの利益が増えるので株価が上昇する要因にもなります。しかし、株主資本には土地や有価証券の含み損益が反映されていないため、ROEだけで企業の実態的な収益力、発展性を測れるわけではない点に注意する必要があります。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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