ご存じの通り、貿易収支は輸出額から輸入額を差し引いて計算します。貿易赤字は輸入額が輸出額を上回っている状況です。
米国で輸入額が増えている背景では、国内の消費需要や設備投資が増えている現象があります。経済活動の元気さを知るうえでは、貿易赤字自体にそれほど問題があるとは言えません。日本でも不況時に輸出が増えて貿易収支の黒字が増え、景気が良くなると輸入が増えて貿易収支の黒字が減るという現象が起きているぐらいです。
しかも、米国の貿易収支の赤字は世界経済を支えているという事情もあります。米国で好調な景気が続き、日本やアジアなど世界各国からモノを輸入しているからこそ、世界各国の経済は成長しているのです。
米国経済がクラッシュ(破綻)するとすれば、それは米国の景気が急に減速し、消費が大きく落ち込んだときでしょう。輸入品が大幅に減るのですから貿易収支の赤字は縮小します。半面でその時は世界各国からの米国向け輸出が大きく減り、米国どころか世界経済がクラッシュする恐れもあるでしょう。