産業再生機構とは、現在、借金がかさんで経営が立ち行かなくなっている会社の中から、厳しい競争環境の中で中長期的に生き残っていける力を持っている会社を探し出し、借金の負担を軽減することなどを通じてその会社を立て直すことを目的とした会社です。本業は順調でも過去に設備投資や不動産購入などに使った借金の利払い負担が大きく、利益の出なくなる企業がバブル経済の崩壊後に増えていることに注目、官民が共同で設立しました。
具体的には、主力銀行(メーンバンク)以外の金融機関がその会社に持っている債権(貸したおカネを返済し、利子を払ってもらう権利)を買い取ります。
こうすると、その会社に債権を持つのが主力銀行と機構だけになりますので、例えば利払いの一部を減免したり、借金を棒引きにするなど再生の支援策を迅速に決めることができます。
債権の買い取り資金は10兆円あり、設立から2年間で集中的に債権を買い取ります。買い取った債権は3年以内に処分するので再生は時間との勝負という側面もあります。
再生に成功すれば企業への投資を目的に資金が集められた投資ファンドなどに債権を売却します。その過程で利益が出る可能性もあります。
一方、再建に失敗したらその債権は整理回収機構(RCC)に持ち込みます。再生に失敗した場合、再生機構が当初買い取った価格より回収機構への売却額が安くなるのは確実で、再生機構には損失が出ます。この損失は、国民負担、つまり税金を投入することになります。機構は5年後をメドに解散する予定です。