1. いま聞きたいQ&A
Q

近ごろ人気が高まっている投資信託について教えてください。

少額でプロを雇い、株式や債券に分散投資

投資信託とは、多くの投資家から集めた小口の資金を、投資のプロがまとめて株式や債券などに投資し、その成果を各投資家に還元する仕組みの商品です。投資家から見た投資信託のメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。

  • 1. 1万円程度の少額から株式や債券に分散投資することができる
  • 2. 投資のプロ(ファンドマネージャー)に実際の投資を委託(お任せ)できる
  • 3. 「日本株のみに投資するタイプ」や「外国債券のみに投資するタイプ」、「世界中の株式と債券に投資するタイプ」など、さまざまな種類から選べる

たとえば個人が自力で数十銘柄の日本株に分散投資しようと思えば、最低でも数十万円から数百万円の資金が必要になります。投資信託では一般に、30~100程度の銘柄に分散投資しています。そうした分散によるリスク低減効果が、1万円程度の少額から得られる点は大きな魅力です。同様に、投資のプロを1万円程度の少額から「雇える」というのも、投資信託ならではのメリットです。

投資信託の種類の豊富さは、とくに外国の株式や債券など自力では手を出しにくい分野への投資を考える人にとって便利です。BRICsなどの新興国はもちろん、米国や欧州の株式などに投資する場合でも、企業情報や購入方法が限られているため、個人でおこなうには大きな手間と時間が必要になります。その点、投資信託には国や地域ごとにいわばパッケージされた商品が多数そろっているので、自分のニーズに合わせた外国資産への投資が日本にいながらにして簡単に実現します。

人気があるから「優秀」だとは限らない

いま日本国内で販売されている投資信託は全部で3000本近くあると言われています。
問題は、これだけ多くのなかから「優秀な投資信託」をどうやって見分けるかということです。

たとえば「人気の高い=優秀」と単純に言えるのでしょうか。
ここ数年高い人気を誇っているのが、外国の株式や債券に投資して、定期的(毎月あるいは2カ月に一度など)に分配金を出すタイプ。投資家サイドから見ると、定期的に分配金をもらうことで投資の成果を実感できる喜びがあるようです。しかしながら、分配金は出すたびに課税されます。投資効率を考えると分配金は本来、できるだけ出ない方が投資家にとっては有利になります。

「安定した分配金を年金がわりに…」という投資家のニーズがあることも否めません。毎月分配型の人気は、それが優秀かどうかという中身の問題よりも、分配の仕組みという外見的な魅力がクローズアップされている感があります。

優秀な投資信託とは、ひと言でいえば「投資が上手いファンド」です。
投資の巧拙は同じ投資対象の商品どうし、過去の運用実績(ファンドの時価である基準価額の騰落率)を比較すれば分かります。運用実績の比較情報は、モーニングスターなどの投信評価機関から定期的に発表されているので、それらを参考にするといいでしょう。

ただし、投資信託の運用実績は短期間では大きくブレることがあります。半年や1年の短期的な実績に惑わされることなく、できれば5年、10年といった長期にわたって安定した実績を残している商品を選ぶべきでしょう。また、過去の実績は将来を確約するものではありません。そのことにも留意して、投資信託を慎重に選びましょう。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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