1. いま聞きたいQ&A
Q

初心者がこれから投資を始める場合に、留意すべきポイントがあれば教えてください。(後編)

先進国の株式には当面、追い風が吹き続ける

初心者にとっての株式投資について考えようと思っていた矢先に、またぞろ世界同時株安という嵐が襲ってきました。日経平均株価が今年(2015年)8月18日から6営業日の間に2,800円以上も下落するのを目にして、やはり株式はリスクが大きいと改めて実感した人も多いことでしょう。

しかしながら今回の株安は、米国の利上げを控えて投資家がナーバスになっていたところへ中国の景気減速懸念が重なって、市場が過剰反応を起こしたという側面が強いようです。あくまでも一過性の要因によって株価が下落したのであれば、今後10~20年という長期のスパンで資産運用を考えている投資家にとっては、むしろ「高値づかみ」のリスクが少しでも減って株式を買いやすくなったともいえます

もともと現在の市場環境は、これから初心者が国内外の株式に投資するうえで好ましい条件がそろっています。近い将来に米国が利上げすると、基本的には米国債などの債券から株式へ資金シフトが起きやすくなります。米国の利上げは当初、年2~3回程度の緩やかなペースで進められる見込みで、FRB(米連邦準備理事会)によるこうした慎重な金利政策運営が米国経済の成長を後押しする形になりそうです。

一方、ECB(欧州中央銀行)は量的金融緩和を少なくとも16年9月までは続ける予定であり、日銀に至っては2%という物価上昇目標の達成へ向けて追加緩和さえ噂されています。米国と日欧の間に生じる金融政策の「ずれ」は米ドルに対する円安とユーロ安を促すため、日欧ともに米国の景気回復の恩恵を受けやすくなります。

このようにみると、日米欧を中心とする先進国の株式については、当面は追い風が吹き続けると考えてよさそうです。もちろん今回の株安が示す通り、市場は米国利上げ後の世界景気について期待とともに不安や疑念も抱えているため、しばらくは断続的な株価調整は避けられないでしょう。これから株式投資を始めるにあたっては、ここ数年続いた一本調子の上げ相場ではなく、上下ジグザグに動く不安定な相場を想定して投資に臨むべきだと思われます

今後は積み立て投資の効果が発揮されやすい

以上のような前提に立って具体的に株式投資の対象を考えてみましょう。初心者といえども、どうせなら自分自身が十分に納得のいく投資を心がけたいところです。例えば無理のない範囲内で、できる限りリスクを抑えながら効率の良い株式投資を目指すという人ならば、以下の3点が重要なポイントになってきます。

  • (1)投資先を多くの銘柄や幅広い国に分散する
  • (2)定期定額購入などの積み立て投資を行う
  • (3)手数料をできるだけ低く抑える

第一候補として浮かび上がってくるのが、インデックス型の株式投信です。日本株式については日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、JPX日経インデックス400などの株価指数に連動するタイプが代表的。最近では、いずれのタイプでも販売手数料がゼロ(ノーロード)の商品が増えてきており、信託報酬も0.5%以下の低いものが目立ちます。

外国株式については、MSCIコクサイインデックスと呼ばれる株価指数に連動するタイプが代表的です。これは日本を除く先進23カ国の株式を指数化したもので、公的年金など日本の機関投資家が外国株式で運用する際のベンチマークとして最も広く使われています。こちらのインデックス型株式投信にもノーロードの商品はありますが、信託報酬はおおむね0.5~0.8%程度と日本株式の場合より少し高めになっています。

専門家の間では、株式相場全体が底上げされる局面は終わって、今後は個別株の選別が投資成果を左右するといった声も聞かれます。ただし、初心者にとって個別株の選別は難しいのが実情であり、投資効率の向上は「積み立て」という投資手法に期待する方がより現実的ではないでしょうか。とりわけ今後しばらくは世界的に不安定な相場展開が予想されるだけに、定期定額購入の効果が発揮されやすいと考えられます

資産運用にNISA(少額投資非課税制度)を活用する場合は、売却益が非課税となるメリットを最大限に生かすため、相対的に大きなリターンが期待できる株式をNISAに集中させるのが原則といわれています。あなたが現役世代なら、例えば月々の給料でNISAの非課税枠に国内外の株式投信を積み立て、それとは別枠でボーナスを日本国債や外債投信の購入に充てるなど、株式部分と債券部分の投資を完全に分けてしまうのも一考です

なお、国内外の代表的な株価指数に連動するタイプの株式投資は、ETF(上場投資信託)でも行うことができます。ETFはインデックス型株式投信より信託報酬が低くて有利ですが、積み立て投資ができないケースが多いため注意が必要です。どうしてもまとまった資金を一度に投資したいという人や、積み立てを行っている人がスポットで追加投資をするような場合に向いている商品といえます。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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