現在、われわれが抱えている最も大きな問題のひとつは、いうまでもなく地球環境問題である。20世紀の主役として発展を謳歌してきた機械工業は、ここへきて転換期を迎えざるを得なくなった。軸受を核とした摩擦の技術、トライボロジーは、これまで機械工業の発展を促進させてきたが、今後、エネルギー効率を上げて省資源化を図る技術として、ますます重要な役割を担うことになるだろう。冒頭で述べたハーフトロイダルCVTは、トライボロジー技術の未来を予見させる、ひとつの解答である。日本精工は、自動車をはじめ、鉄道、航空機、コンピュータなど、さまざまな工業製品にトライボロジー技術を提供し、現在、売上高では世界第2位のベアリングメーカーへと成長している。日本の工業化を実現させてきたこの企業が、21世紀、産業界でどんな役割を演じていくか、注目に値する。
「ハーフトロイダルCVT」が2000年日経優秀商品・サービス賞(最優秀賞-日経新聞賞)を受賞(日産自動車および出光興産との共同受賞)