1999年、日産セドリック/グロリアに搭載された無段変速機ハーフトロイダルCVTパワートロス・ユニット。摩擦技術が20世紀末にたどりついた究極の結晶である
1999年11月、世界の技術者たちが注目するなか、1台の車がデビューした。技術者たちが注目したのは、無段変速機ハーフトロイダルCVT。変速ギアのかわりにディスクとパワーローラーを使って無段階で変速を行うユニットで、変速時のエネルギーロスをなくして燃費を大幅に向上させることでCO2の削減に貢献し、滑らかで力強い走りを実現する。摩擦に関する総合的な技術、トライボロジーの究極の結晶といわれ、20世紀初頭から多くの技術者が何度も実現を試みながらついに果たせなかった夢の技術が、その車、日産セドリックに搭載されていたのだ。21年の歳月をかけて、これを実現したのが日本精工である。軸受、すなわち機械を動かすためになくてはならないベアリング技術で日本の工業化をめざし、まさに機械の中枢部分でミクロン単位の技術によって、それを推進してきた企業である。