1. 先駆者たちの大地

先駆者たちの大地

ブラザー工業株式会社 創業者 安井正義

1918~1921年 輸入産業を輸出産業にする

1918年に第1次世界大戦が終わると、世界的な不況の波が押し寄せた。安井ミシン商会でも、ほとんど仕事がない日々が続いていた。人々は働きたがっていたが仕事がない。それは日本に工業がないからだと正義は考えた。誰もが働ける時代を作るために日本を工業化させたい、何としても国産ミシンで工業を興したいという思いに、彼は次第に突き動かされていった。

1921年、17歳の正義は、大阪でミシン修理業を営む松原商会へ修業に出た。大阪はミシンの本場である。しかし出回っていたのは95%がアメリカのシンガーミシンで、残りはドイツとイギリスのものだった。国産ミシンはついぞ見かけることがなかった。当時、シンガーは訪問販売、月賦販売システム、アフターサービスの良さで他社を駆逐し市場を独占していた。その支配力をまざまざと見せつけられたのである。こうして正義は、その一生を決定づける重大な決意を心に期していた。国産ミシンで「輸入産業を輸出産業にする」という決意である。

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IRマガジン2000年9-10月号 Vol.45 野村インベスター・リレーションズ

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