1. いま聞きたいQ&A
Q

世界の証券取引所で起きている再編とはどのようなものですか?

生き残りをかけた国際競争が激化

東京証券取引所(東証)とニューヨーク証券取引所(NYSE)グループは2007年1月31日、業務提携で正式に合意したと発表しました。相手市場に上場している株式や各種金融商品の相互上場、先進システムの開発、資本提携に向けての協議など、その合意内容は非常に広範囲にわたります。さらに東証は、ロンドン証券取引所との間でも業務提携交渉を進めており、早ければ2月中にも合意する見込みです。

取引所の再編レースにおいて、東証はこれまで欧米に遅れをとっていました。NYSEはすでに2006年末、欧州でパリなど複数の取引所を運営する「ユーロネクスト」と経営統合することで合意しています。ロンドン証券取引所に対しては、2004年末からユーロネクストや米国の新興企業向け市場であるナスダックなど、世界の4取引所が相次いで買収を画策してきました(いずれも失敗)。

このように証券取引所の再編へ向けた動きが活発化しているのは、取引所間の生き残りをかけた国際競争が激しくなっているからです。競争を制するうえで、提携や買収・統合が取引所にもたらすメリットは、大きく分けて2つあります。

ひとつは、売買処理システムの開発コストを軽減できる点。
証券投資のグローバル化が進んだ今日では、世界中から送られてくる大量の売買注文を素早く正確に処理できるシステムが取引所に求められます。東証では2009年に株式上場を予定しており、それに合わせて世界最高水準といわれる次世代システムの開発・導入をめざしています。海外の取引所とシステムを共有することで巨額な開発コストを軽減できれば、その実現へ向けて大きく前進することになります。

魅力の向上は投資家にとってもメリットに

もうひとつのメリットは、有望な上場企業や魅力的な金融商品を取り揃えることが可能になり、それによって海外も含めた多くの投資家を集められるようになる点。これはそのまま、日本の個人投資家にとってのメリットにもつながります。

たとえば2007年2月9日現在、東証(1部)に上場されている外国株は23銘柄のみ。海外の株価指数に連動するタイプのETF(上場投資信託)もいっさい上場されていません。海外の取引所との提携を通じて、今後は欧米企業のさらなる上場はもちろん、成長著しいアジア企業、円建てによる海外のETFやREIT(不動産投資信託)の上場などが期待できます。

東証では、金や銀など貴金属相場に連動したETF市場の創設も予定しています。金のETFはすでにNYSEに上場され、投資家の人気が高い商品です。金相場は株式相場との連動性が低いことが知られており、投資家が株式と同時に金も保有することで、資産全体の値下がりリスクを低く抑えることが可能になります。金融派生商品(デリバティブ)の拡充なども含めて、今後はこのようなリスク回避機能をもった商品が数多く登場してくると思われます。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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