1. いま聞きたいQ&A
Q

外貨準備高について教えてください。外務省の経済指標を見ると、日本だけ飛びぬけて高いのはなぜでしょう?

確かに、外務省の「主要国の金・外貨準備高」の資料をみると、日本の金・外貨準備高の大きさが際立っています。
月々の外貨準備の増減額は財務省と日本銀行が「国際収支統計」の中で発表していますが、最近では1998年前半に円安・ドル高が進んだときを除いて、ほぼ一貫して増加しています(なお、統計上では増加は「-(マイナス)」の符号で示されるので注意してください)。

なぜ、外貨準備高は急増しているのでしょうか。

その理由は日本の経常黒字(輸出金額が輸入金額を引いた貿易黒字や、海外からの配当、利子などの受け取りから海外への配当、利子などの支払いを差し引いた所得収支などの合計額)の大きさにあります。

一方で設備投資などで資金が海外に流出することもあり(=資本収支の赤字)、実際、日本企業の海外投資は工場建設などの直接投資や米国債などの証券投資ともに活発です。
しかし、経常黒字の水準があまりに大きく、民間の自由な経済活動の結果として資金を海外に流出させるだけでは不十分になっています。残った外貨は日本国内で使うために円に替えられるわけですが、これは「ドルなどの外貨売り・円買い」につながり、円相場を押し上げてしまいます。これを防ぐために、通貨当局(たとえば日本銀行)などが米国債をはじめとする外貨建て資産を購入します。
こうした活動を通じて、外貨建て資産が増えて、外貨準備高が大きくなっているわけです。

一方、経済学の世界では、経常黒字は国内の貯蓄(=所得金額-消費金額)のうち、設備投資など実物投資に使われなかった残りと等しいとされています。つまり、経常黒字の大きさは国内投資が不活発なことの裏返しです。外貨準備高の大きさは日本国内の経済状況が不活発であることを示しているともいえそうです。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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