信託銀行も普通の銀行と同じように、基本的には企業や個人などの顧客から預かったおカネを企業や個人に貸し付けたり、債券や株式を購入したりして、運用し、その利ザヤを収益としています。
ただ、信託銀行の場合には預金としておカネを預かるだけではなく、顧客との間に信託契約という契約を結んで、貸付信託や金銭信託といったかたちでも、おカネを集めています。信託契約の仕組みは預金契約とそれほど大きな差はなく、信託銀行はおカネを信託してくれた顧客には利息ではなく、分配金を支払います。
また、信託契約には年金信託や不動産信託のように、企業などの顧客から年金のために資産の運用を任されたり、不動産の運用や管理を任される契約なども含まれています。このため、信託銀行は通常の銀行に比べると、業務の幅は広いといえます。
信託契約は基本的に長期にわたる契約が多く、預金のほかに債券を発行しておカネを調達する長期信用銀行と同様に、信託銀行は日本では長年、長期金融を担う存在として位置付けられていました。
しかし、最近では短期金融と長期金融の垣根が崩れており、信託銀行が単独で生き残るのは難しくなっています。三菱信託銀行が東京三菱銀行と共同で金融持ち株会社を作ったり、旧東洋信託銀行が旧三和銀行、旧東海銀行と共同で金融持ち株会社を設立してUFJ信託銀行に衣替えするなど、都市銀行と信託銀行の合従連衡が相次いでいるのは、このためです。