1968年以降、三井不動産は、それまでのビル事業、浚渫埋立事業、宅地造成事業の3本柱に加えて、住宅事業、海外事業、レジャー事業などの新規事業に着手し、総合デベロッパーとしての華々しい活躍を開始した。
「J-REIT」対象の日本鋼管本社ビル
積極的な経営姿勢の最近の例といえるのが、不動産投資信託(J-REIT)に対応するノンアセット・ビジネスの展開だろう。不動産投資信託は2000年5 月の投資信託法の改正以後、注目を集めてきた新しい形態の金融商品である。従来のように資産価値として不動産を捉えるのではなく、収益価値や利用価値など不動産の付加価値を創造して運用していくもので、資産を保有して収益をあげるこれまでのビジネスに対して、経験やノウハウを生かしたサービスを提供することで収益をあげる新しいスタイルのビジネスである。
2005年9月末竣工予定の話題の超高層ビル、室町三井新館(仮称)完成予想図
これまで三井不動産は、京葉臨海工業地帯の浚渫埋立工事や霞が関ビルの建設など、社会が大きく変化する節目となるような仕事に取り組んできた。未来を建設してきた不動産会社といってもいいかもしれない。不動産信託投資も、土地を希少な財産と考えるこれまでの不動産の概念を、根本から変える可能性を含んだものである。土地の概念が変われば日本経済の構造にも少なからず影響がある。三井不動産の新しいビジネスが時代をどのように動かしていくか、今後の展開は注目に値する。