1. 先駆者たちの大地

先駆者たちの大地

三井不動産株式会社 社長 江戸英雄

東京に未来がやってきた

アポロ11号に乗って人類が初めて月に降り立ったのは1969年。21世紀はまだ遥かに遠く、未来が夢と同義語だった時代。超高層ビルが立ち並び、その間を縫うように高速道路が走る立体的な都市が、当時の未来観を代表するイメージだった。今でこそあたりまえの都市の風景だが、その頃の東京は平均1.5階建ての低層都市だったのだ。

アポロ11号の前年、1968年、いよいよ日本でも最初の未来が姿を現す。地上36階建て、日本初の超高層ビル、霞が関ビルの誕生だ。それまで無名だった三井不動産の知名度は、この超高層ビルの建設によって一挙に高まった。三井不動産は、もともと三井家の不動産を管理するために生まれた小さな不動産会社で、営業用の土地はほとんど持っていなかった。しかしこの「土地を持たざる」不動産会社が持っていたものは大きい。過去に財産を持たない以上、積極果敢に未来を切り拓いていくしかない。その姿勢こそ、三井不動産の財産であった。

霞が関ビル

経済成長で日本が変わっていく時代を象徴する霞が関ビルは、三井不動産の飛躍の象徴でもあった

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IRマガジン2002年5-6月号 Vol.55 野村インベスター・リレーションズ

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