MC2000で経営の総点検を行った三菱商事は、続く中期経営計画MC2003で、いよいよその成果を具体化する段階に入った。MC2003の重要なキーワードは「新たな価値創造への挑戦」である。つまり、市場にニーズを探るのではなく、三菱商事自らが新しい価値を創造し、市場にニーズを生み出していく、そのような活動サイクルを作り出すための経営を構築するということである。 社外へのコミュニケーションを目的として発信された言葉ではないため抽象的な目標と思われるかもしれないが、これは定量化可能で明確な方法論を持った、具体的なミッションであった。さて、その成果はどうだったか。
品川新オフィスビル
2003年4月より、丸の内オフィス・品川オフィスの本店2オフィス体制に
過去最高の基礎収益
2002年度、三菱商事は、総合商社独特の財務指標である基礎収益で、1,771億円という過去最高の高収益を達成した。1998年度をボトムとして、基礎収益は好転し、わずか4年で最高の水準に達したのである。2003年度は、MC2003の最終年度にも当たる。経営構造はすっかり変わった。三菱商事は、その成功をさらなるバネに、次のステージへとその歩みを進めたといえるだろう。
総合商社の役割は時代とともに変化する。旧来の総合商社機能が必要でなくなった今、総合商社という枠でくくれるビジネススタイルはすでに存在しない。常に時代に即したビジネススタイルを構築し、新しい価値を提供しつづけることが、その根本にある使命である。三菱商事の果敢な挑戦とその成果は、総合商社という範疇を超えて、日本の企業全体に明るい未来を提示したように思える。それもまた、総合商社のひとつの使命かもしれない。