1. 先駆者たちの大地

先駆者たちの大地

明治製菓株式会社 創業者 相馬半治

1916年~ 記憶に残る数々のお菓子

ミルクチョコレート

初代の「ミルクチョコレート」1926年発売。現在も売れ続ける超ロングセラー商品で、「チョコレートは明治」の象徴である

ここに音符を書きたいぐらいなのだが、「チョコレートは明治」というだけで、あのおなじみのメロディが頭に浮かんでこないだろうか。チョコレートは明治製菓の主力商品であるという事実がメロディによって記憶されている。そんなふうに、いろいろな形で記憶に残っているお菓子はたくさんある。鉄腕アトムシールのマーブルチョコレート、カールおじさんのカール、チェルシー、きのこの山、果汁グミ、安室奈美恵がコマーシャルに出演したフラン。これらはいずれも明治製菓の商品である。
マーケティングという概念がアメリカから輸入されるはるか以前から、明治製菓は常に消費者に目を向けて、市場に話題を提供してきた。明治製菓のこうした傾向を端的に象徴する言葉がある。「買う気でつくれ明治」という、同社の創業以来の精神である。

明治製菓の創業は、第1次世界大戦さなかの1916年。当時、日本の製菓産業はまだまだ規模も小さく、欧州各国が東南アジア諸国に輸出していた菓子類は年間総額1,000万円に上っていたが、日本の輸出額は5万円程度しかなかった。そこに大戦が勃発し、欧州からの菓子類の供給は全面的に途絶えた。これが日本の製菓産業を発展させる契機となったのである。
1916年10月、明治製菓の前身である東京菓子株式会社が創立。続いて同年12月、後に同社と合併することになる大正製菓株式会社が、明治製糖株式会社社長の相馬半治によって創立された。明治製糖は1906年創業で、大戦の影響による砂糖景気で順調に利益をあげていた。同業他社のなかには、砂糖景気の利益を、当時最も利潤の大きかった海運事業に投資するものも多かったが、相馬は目先の利益よりも、砂糖消費の促進と国産菓子の輸出によって国家に貢献しようと、菓子事業に乗り出したのである。その設立の趣意は東京菓子株式会社にも共通していた。こうして両社は1917年3月に合併し、新しい東京菓子株式会社が誕生した。

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IRマガジン2001年5-6月号 Vol.49 野村インベスター・リレーションズ

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